社会に出ている人なら、誰でも自分の価値について考えることがあると思います。管理職、経営者なら尚のこと組織にとって必要とされているか自分を客観視することは大切。
部下も上司のそんな姿をよく見ているものです。今回はそんなお話です。
万能感は最大の敵
後継者の皆さんは、この言葉の意味をよくお分かりだと思います。これまで先代や先輩社員が築き上げてきた会社を譲り受け、気を引き締めてこれから会社のかじ取りを行っていく重責を担う。
しかし、業績が徐々に良くなっていき自分のパワーを感じるようになる時もある。その瞬間から自分自身の崩壊がはじまっていくような気がします。だんだんと人の話を聞かなくなり、いつしか最も嫌ってきたトップダウン・マネジメントへ傾いていく。とても怖いことです。たいていのケースでは、そのことに本人は気づけていないからです。そんな時、周りに諭してくれる右腕の方がいるのであれば良いのですが、必ずしもそうとは限らならない。
であるならば、普段から自分について内省する習慣を持ち自分で身を守らねばなりません。
思うに、ビックモーターの副社長は、まさにこのパターンを辿ったのではないかと思います。最初は本人も会社のためを思ってあれこれやっていたことが、いつしか独裁政権の如く強権的なマネジメントへ傾いていく。おそらく根底には「万能感」が影響しているのではないかと思います。
社長だけでなく、中間管理職の方でも、あるいは一般社員の方でも自信から生じる「万能感」は厄介な存在です。一旦、この感覚に支配されてしまうと自制が効かなくなります。
例えば、後継者が始めた新規事業がたまたまヒットしたとします。賢い後継者であれば、そこで冷静になり勢いだけでは続かない、ここは脇を絞めて取り掛かろうと慎重になる。楽天的な後継者の場合は、ここからイケイケどんどんで攻めはじめ、いつしか運営が破綻したり、業績が頭打ちになっても軌道修正が決断できない状態に陥ることもある。
そなると誰が一番困ることになるでしょう?
勿論、本人は自分の限界を思い知ることとなり落胆します。もっと困るのは社員です。内心では「これはいつか破綻する」と思いながらも上司には逆らえない。そして見立て通り、事業が行き詰ってしまう。災厄なケースでは、その責任を部下に転嫁する管理職も一定数は存在するので怖い話です。大企業では、まあまあ、ある話ですよね。
私も過去に何度か万能感に支配されたことがあり、多くの社員に迷惑をかけた経験があります。業務的な負荷だけではなく、損益面でもマイナスを出してしまい自分の力のなさを痛感したことを鮮明に覚えています。しかし、誰でも失敗や間違いは犯すので、それに気づいてから自分をどう立て直すか?という話だと思います。部下もその辺はよーく見てますので。
自分の存在価値を客観視する
社長時代には気にしていました。サラリーマン時代でも転職エージェントに会って自分の給料が転職した場合にどうなるのか聞いたりしていました。金銭的な価値が本質ではないのですが。。。
私はこんな感じで後継者として社長を務めていた時に考えていました。
調子にのってないか?
人への思いやり、感謝の気持ちを忘れていないか?
社員の心を掴めているか?
自分がやるべき仕事に集中し、職務 を果たしているか?
惰性に任せていないか?先の展望を考えているか?
正直、会社員時代はここまでの事を考えてはいませんでしたが、社長になってからは気にするようにはなっていました。それでも、やはり私を諭してくれる数名の方の存在がなければ私は道を踏み外していた可能性はあったなと今でも思います。
コンサルタントになってからは、仕事を頂いているお客様企業の社長さんにそれとなく自分のパフォーマンと投資が見合っているかどうか聞くようにしています。現場の皆さんにも、私の仕事ぶりが押し付けになっていたり、強引な進め方になっていないか、助言の品質はどうか?などなど気にしています。コンサルの場合、知らずに顧客との心理的な距離が離れてしまい、突然、契約を切られてしまうリスクは常にあるので社長業以上に気にはしています。
世の中には、いろんな人がいます。Youtubeなどでは敏腕経営者などが自信満々で話している姿を時々目にしますが、本物の凄い人は自分の力を誇示するようなことはなく、どちらかといえば穏やかな人が多いです。自信満々で話している人でも、実は裏では社員の事を人一倍気にかけ、慎重に経営をしている人もいます。Youtubeの切り取り動画に騙されては駄目ですよ。本当に力がある人は、常に自分を客観視し、穏やかではあるが鋭い視点で周りを観察しているものです。
一般論ですが、人は穏やかなタイプの方が信用できそうですし頼りがいありそうですよね。
ということで、後継者の皆さんには特にご注意頂きたいお話でした。
以上、ランナーズ関根でした。
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