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執筆者の写真Takeshi Sekine

トップダウン文化から脱却する方法

更新日:10月18日

 後継者の皆さんの中には、先代から続くトップダウン文化からの脱却で悩まれている方も多いと思います。一般企業にも存在する課題であり、マネージャーの皆さんは指示待ち部下に困り果てている方もいるのではないでしょうか?今回は、どうやって脱却するかについてです。




トップダウンになってしまう原因

 トップダウン≒「指示待ち社員の蔓延」という事にもなると思いますが、こうなる原因は主に2つあると私は考えています。



(トップダウンになる原因)

まず、創業者が長く社長を務めている会社のケースで考えてみます。

創業者が長く社長を務めている会社は、かなりの確率でトップダウン文化がまん延しています。その理由として考えられるのが、創業時はどうしても社長のリーダーシップが成長には必要であり、会社が存続するためにも強力なリーダーシップが求められるため自然な結果です。現代のスタートアップ企業のような若手経営者が率いる会社でもトップダウンから抜け出せない企業も多く存在します。


会社が軌道に乗り成長を始めても創業社長が社員に重要な仕事を任せることがない場合、いわゆるマイクロマネジメントが断続的に行われてしまうため社員は余計な努力をすることなく社長に判断を仰ぐ癖が染みついてしまい、トップダウンという社風が醸成されていきます。また、社長自身の価値観というか考え方なのですが、他人を信じることができないタイプの社長も多く、結果的にトップダウンが続くというパターンもあります。


このように、社長自身が社員の能力を引き出して組織的な運営を行うことなくマイクロマネジメントを継続してしまうというのが1つ目の原因として考えられます。



(指示待ち社員が増殖する原因)

 トップダウンとは少し違いますが、指示待ち社員が多い会社のケースで考えてみます。

私の経験から思い当たる事として、ビジネスモデルの強さがあります。


あまりにも会社のビジネスモデル・製品が強すぎ、社員が努力せずとも商売が成り立ってしまうような企業も世の中には存在します。大企業で資金力がある会社に限った話ではなく、

中小企業でニッチな市場のチャンピオンになっている会社は、競合も少なく悪い意味で会社が安定してしまう事態も起こり得ます。


経営トップが世代交代したとしても安定した業績が続き、大した努力をせずとも会社が回り続ける企業ではトップ自身も新たな事にチャレンジして下手に失敗するよりは過去からのビジネスモデルを踏襲し、任期を全うしようとする事も起こり得る。このような経営環境が指示待ち社員の蔓延を引き起こす原因になると私は考えています。


他にも原因はあるとは思いますが、今まで私が見てきた企業、実際に自分が働いてきた企業ではこの2つがトップダウンや指示待ち社員を蔓延させてしまう根本原因でした。






トップダウンから抜け出す方法は?

 難しいところですが、最重要なことは経営者がトップダウンの弊害に気づく事です。トップが社風を変える気持ちがなければ、部下がどれだけ頑張っても残念ながら社風を変えることはできない。これが現実です。従って、前提条件として経営トップが社風を変えたいという意思を持っている事を前提として話を進めていきます。

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その1:社長の実務を減らす

(実務をやらないという新たな仕事)

 どんな会社であれ、組織に属する人たちは無意識に失敗を回避するのが常です。これを変えるためにはトップ自らが新しいことに挑戦する意欲を持つことが大前提となります。ここはどうしても、トップの考え次第となります。もしトップであるアナタが、会社を変える意思を持つのであれば、以下の事をやってみてください。


まず、現場に対して細く口を挟まないようにすることです。そして社長である自分にしか出来ない事に徹してください。簡単に表現するならムードメーカーで良いのです。監督として会社全体を定点観測・観察することに徹してください。


できる限り実務を手放してください。また、現場に注意喚起や指導を行う場合、当事者である末端の社員に直接指示したりアドバイスするのではなく、部門長にまずは話をしてください。


話をする際も、結論だけを伝えるのではなく管理職がどう考えているのか聞き出し、問題に気付いていないのであれば気づくような問いを投げかけ続け、自ら気づくまで付き合う事です。管理職が本質に気づいたら、それを部下に伝えてもらう事を根気強く続ける。


この「付き合う」というのがトップダウン、指示待ちを変えるために社長が取り組まなければならない最重要な仕事です。実務をやらないという仕事です。


社員の意識が変わるまでは、どうしても業績が下がったりトラブルが生じる。でも我慢です。ここを我慢できるかどうかで社風が変わるか決まると思います。






その2:取締役会を機能させる

 非同族の企業では少ないと思いますが、ファミリービジネスでは取締役会が機能していない会社がかなり多くあります。


私が実際に後継者として会社を経営していた際に行ったことをご紹介します。

トップダウンから抜け出したかった私は創業者である先代(=父)を支えてくれていた数名の幹部から取締役に就任してもらい、それまで親族だけで経営の意思決定を行っていたやり方から、取締役会での意思決定による会社運営へと変更しました。

最初は取締役に就任した幹部も遠慮して発言しない事もありましたが、会議議事録を社内に公開したり、担当する事業分野を明確にし責任を担ってもらうようになってくると、徐々に当事者としての意識が高まり、意思決定に関わるようになっていきます。このように変化できたのは、私が取締役会を機能させるように仕組みを整備しただけはなく創業者である父がその運用を容認してくれたことが最も重要な事でした。もし父が反発して賛同してくれなかったら、このような変化は起こせなかったと思います。


このブログを読まれて取締役会を機能させるようにやってみようと思われる後継者の皆さんは、先代が社内に取締役として残っているのであれば、絶対に先代の同意が必要となるのでそこを理解してください。


注意点として取締役会による経営に移行するためには、定款に取締役会設置会社であることを明記し登記する必要があります。もし定款に取締役会設置会社の記載がない場合は、定款を書き換えることを忘れないでください。また、取締役会規定も作成し、どのような意思決定を取締役会で行うのか明確にしておくことも重要です。




私が思うに、本来であれば「その1」だけでも社風を変えることはできるのですが、会社の規模が比較的大きな会社である場合、ファミリービジネスである場合などは「その2」の取締役会による経営も合わせ技で取り組むと良いかと思います。



他にもトップダウンからの脱却方法はあるとは思いますが、今回は私の経験に基づいた手法をご紹介させて頂きました。


社員の力を引き出し会社を成長させるとともに、社員の人生も充実したものとするためにトップダウン文化からの脱却を実現させてください。





以上です。

ランナーズ関根でした。





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