意外に思われるかもしれませんが、多くの経営者が後継者を育てることができずに悩んでいます。今回は、そんなお話です。
創業者が歩む道
創業者、もしくは事業を引継いで急成長させた社長(中興の祖)の特徴をご存知でしょうか?殆どの方が、0→1を生み出すイノベーターです。
資産もコネもない、ゼロから会社を立ち上げて大きくした社長は自分の成長と共に会社が大きく成長してきている。人によっては、相談相手もいるとは思いますが、孤独な意思決定を繰り返し、修羅場を潜り抜けた人が多いと思います。
こういう経営者は、人の指導を受けながら経営をしてきていません。
誰かに教えられ、導かれて会社を大きくしたのではなく、苦労して成功を掴んでいます。
自分が自力でやってこれた事なので、本人は特別な事をやってきたという自覚はなく「努力の問題」という感覚を持つ方が多いです。
なぜ、後継者を育てられないのか?
このような経営者から後継者を見ますと、ちょっとしたことで挫折するアトツギが大変不甲斐なく思えるものです。また、今まで部下を育てた経験はあったとしても、特定の業務に特化した指導や指示を行っているため会社全体を俯瞰できる人材を育成していません。
分かり易く表現するなら、自分が会社を仕切る上で使いやすい部下を育成してきているので自分と同じような立場の人材を育てている人は殆どいません。
つまり、育てた経験もないし、育てようとしたこともない、そして教育指導の方法も知らないため育成できないのです。
また、経営者の子供というのはレベルの高い教育を受けており、また親を見て育っているので生来のリーダーシップが備わっており、仕事ができる人も多くいます。先代とは違う時代背景で育ってきていますので、当然ながら会社で先代と仕事をするようになると意見衝突も起きてきます。対立関係になってしまうと後継者指導どころではなくなってしまいます。
さらに、腕の立つ経営者であればあるほど、自分のレベルが標準になるので後継者へ求めるハードルがどんどん上がります。例えば、ニデック(旧 日本電産)、ソフトバンク、ユニクロの創業者は、皆さん後継者問題に苦しんでいます。そおらく韓国企業も似たような感じだと思います。
一方、アメリカはどうかというとMicrosoft、Apple、Amazonは既に創業者が退陣し、あらたなCEOが会社を率い、経営が順調に引き継がれています。
Appleの場合は、スティーブ・ジョブスが死去したため、他の2社とは状況が異なりますが、おそらく後継者を育てて引渡したという感じでもないと思います。
欧米の企業では、CEOを選ぶ意思決定機関が存在し、合理的な判断で後継者を選んでいると思いますし、ダメならすぐに交代させられてしまいます。創業家の人間だからという理由だけでCEOの座に居座る人は稀だと思います。
また、日本との大きな違いとして欧米では経営者の多くがメンターやコーチを雇っています。親や先代社長から学ぶのではなく、自分の能力を引き上げてくれる指導のプロを雇っているという点も大きない違いだと思われます。
これは推測でしかありませんが、そおらくCEOになる人は「先代が教えてくれない」というような悩みを感じることはないのではないでしょうか。経営を学ぶためにはビジネススクールに通ったり、専門のプロを雇ったり、あるいはコンサルタントも上手に使います。
日本でも最近のアトツギはMBAに通う人も多くいますが、メンターやコーチを雇う人は多くないと思います。
じゃあ、どうすればいいのか?
もし、家業に入って仕事をしているアトツギの方で経営者になるための勉強について悩んでいるのであれば、先代社長ではなくNo2、No3といった先代の脇を固めている重役の方に相談すると良いかと思います。
経営に関する知識は、やろうと思えばMBAでも書籍でも必死で勉強すれば学ぶ事は出来ると思います。しかし、組織のリーダーとしての判断力、人心掌握力、社員への目配り、気配りなどは書籍からは学ぶ事が難しい領域です。
それっぽいタイトルの書籍はありますが、あくまでHowTo本であり自社の状況、自分自身が直面している状況に即したアドバイスをしてくれるわけではありません。知識というよりは人間性を高めるという領域になるので、本来は伴走してくれるコーチのような存在がベストなのですが、日本にはそんなことを伴走しながら指導してくれる人は多くいません。
なので現実的な対策としては、先代を良く知り、会社の歴史、業界を良く知る重役が望ましいのではないかと私は思います。私自身も後継者として家業で働いていた時には、重役の方から多くの事を教えて頂きました。
宣伝になってしまいますが、私のように16年以上も家業で働き、社長経験を有するようなコンサルタントは非常に稀です。後継者の苦しみも分りますし、先代経営者の気持ちも立場も分ります。また、先代経営者が上手く指導できないという特徴も心得ています。
後継者の指導役として、私のようなコンサルタントを雇う事も選択肢としては良いと思います。本来は先代から学ぶことも多くあるのですが、親子だったりしますと、これがなかなか上手く会話できないものです。お困りの際には、ぜひ、お問合せください。
では、皆さん、良い夏休みをお過ごしください。
以上、ランナーズ関根でした。
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