中小企業の経営者であれば、補助金の活用は検討したことがあると思います。私も中小企業の社長として補助金を頂いた事もありますが、困ったことにも遭遇しています。今回は補助金の使い方について書いてみます。

補助金は一方的にお金だけもらえる制度ではない
補助金を活用したことがない方もいると思いますので、基本的な注意点を説明ます。
まず、補助金はお金をもらうだけの制度ではないという事です。補助金は、名前の通り何らかの事業を行う際に必要な投資に対して補助を行ってくれる制度です。あくまでも補助。
つまり、自分でもお金出さないと補助金は受けられないということです。たまーに、自分がお金出さなくても役所からお金をもらえる制度だと勘違いされている方もいますが、そうではありません。必ず自己投資をしないともらえないので覚えておいてください。
補助金には、いろいろ種類がありまして補助してくれる比率や上限があります。どのような事業に取り組むかによって最適な補助金を選ぶようにしてください。
補助金と助成金の違い
どちらも役所からお金が出る、もらえるという点では同じですが、財源が違ったり手続きが異なったります。
(補助金)
簡単に説明すると、補助金はもらう前に審査があり、審査にパスしないともらえません。作文が上手くないと審査で落とされるのでノウハウが必要です。そのため中小企業診断士などが作文を請け負うというビジネスが成り立っているわけです。
やる気になれば中小企業診断士の資格を持っていなくとも申請はできますし、実際に採択されて補助金を受け取る社長さんも沢山います。なので社長さん自ら書類を作成しなくても総務部・経理・経営企画の社員に書いてもらっても良いと思います。
私も過去に受けた補助金で、総務部の社員が申請した案件があったような気がします。研究開発の社員も出していたような気もするな・・・
補助金で注意しないといけないのは、審査に通って補助金がもらえるとなっても直ぐにお金を受け取れる訳ではないという点です。補助金は、基本的に後払いです。そこは注意してください。また、補助金の審査に通った後の支出でないと認めてくれません。領収書の日付が審査合格前だとNGなので補助金を活用する場合は、費用を前払いする必要があり、且つタイミングには要注意だということを覚えておいてください。
(助成金)
こちらも似たような制度ですが、助成金は申請後に条件を満たせているか審査され、満たしていれば受け取れるという仕組みです。補助金のように他社と比較されたりして落とされるというようなものではないという事です。主に雇用に関する助成金が多いというのも補助金との違いかもしれませんまた、助成金は「前払い」してもらえる場合もあるという違いがあります。
良く知られる補助金・助成金
上手に利用すれば、かなりの金額をもらえる補助金もあります。
以下のサイトでは、補助金を検索できるサービスがありますのでご覧になってみてください。https://j-net21.smrj.go.jp/
私が過去に遭遇した補助金トラブル
過去の話ですが、私が経営していた会社でまだ世の中に存在していない特殊なデバイスを開発するというプロジェクトがありました。非常に画期的な取り組みで、成功すれば従来の問題を解決し、大きなビジネスが生まれることが期待されるものでした。
もちろん、自社で開発を進めていたのですが、ある時、行政機関の方から連絡があり「どうしても補助金を受け取って欲しい」という謎の依頼だったのです。プロジェクトの投資額から考えるとさほど大きな額ではなく、補助金がなくても自己投資で開発を続けるつもりでいました。
とはいえ、行政機関からの頼み事なため無下に断ることもできず、お話をお聞きしたのでした。背景として、その補助金を受け取ることができる企業が見当たらず、このままいくと補助事業が実行できなくなり、来期から事業そのものが消滅してしまうという事情があり、行政機関としては何とか補助金を受け取ってくれる企業を探したかった。。。というのが背景にありました。
その後、厳正な審査を経て補助金を頂けることになったのでした。
機密性の高いプロジェクトだったので対外的には一切情報を出さずに開発を続けていたのですが、補助金には必ず進捗報告と結果報告というものがつきものであり、私としても報告書を出すだけで終わりだと思っていたのですが、この補助金については、成果をイベントで発表しなければならならいという、とんでもないおまけがついていました。絶対に情報を出したくない企業側の事情、補助事業の成果を知らしなければならない行政機関・・・というような構図でした。詳細については書けないのでここで終わりにしますが、こういうトラブルは起こり得ます。
補助金を利用する上での注意点
以下のような点について注意を払い、利用を検討してください。
資金繰りの代替手段としてはならない
いわゆるゾンビ企業が生存するための収入源として補助金、助成金を活用している事もあります。審査で落とされるような気もしますが、上手に作文しているんでしょうかね、実際に補助金を実質の運転資金として活用してる企業もあるそうですが、こういう使い方はやめましょう。麻薬と同じなので止めた方が良いです。
補助金がないとできない事業か?
補助を受けないと成り立たないような事業計画のビジネスはやめた方が良いです。仮に補助金がもらえなくても自己資金、あるいは金融機関からの資金調達でも進めるような計画であればいいのですが、そうでなければ補助金が貰えなかった時点で成り立たなくなる。そんな脆弱なビジネスプランでは、そもそも駄目だと思います。補助金なしでも十分やれるビジネスプランを考えた上で補助金の活用を考えることを個人的にはお勧めします。
手間を考える
説明した通り、補助金はもらうために結構な手間暇がかかります。その手間を考えて損得を判断するようにしてください。
機密性の高いプロジェクトか?
私が遭遇したトラブルの通り、機密性の高い最先端プロジェクトなどは補助金を受けた際の情報開示義務について十分に調査した上で補助金を申請するか検討してください。闇雲に飛びつくと危険です。
まとめ
ごめんなさい、私のあくまでも個人的な見解ですが、補助金は正直なところあまりお勧めしません。実は私も中小企業診断士の資格は持っているのですが、補助金申請の仕事は請けていません。なぜなら、経営者として過去の経験から補助金のマイナス面をよく知っているので、同じ経営者としてお勧めできないからなんです。
とはいえ、上手に活用することは十分できますので中小企業診断士の方に談してみることをお勧めします。
以上、ランナーズ関根でした。
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