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執筆者の写真Takeshi Sekine

先代経営者、創業家一族の道義的責任

 今回は同族経営で、世代交代後に問題が生じた場合についてのお話です。上場企業では、後継者の育成、経営の引継ぎに関して株主へ情報公開することが求められていますが、非上場企業ではそのようなルールはなく、社長の一声で決まってしまう事もあります。今回はその問題について書きます。



こんな話を耳にすることがありませんか?

 

「新社長がヤバい人で、会社が大変なことになっている。。。」

会社が大変なことになるパターンは幾つかありますが、考えられるケースを挙げてみます。


  1. 業績が落ち込み、資金繰りがきつくなっていく

  2. 人材が流出していく

  3. 2に関連しますが、人手不足となり業務が回らなくなる

  4. 結果、顧客離れが生じ、業績が低迷する



要はですね、お金の問題か、人の問題に集約されると思います。

業績が落ち込む原因というのは、様々な要因があり複合的な問題が重なった結果で業績が落ちていくというのがパターン的には多いと思いますし、業績の低迷というのは原因が特定できれば何とか挽回できることもあります。


しかし、2、3の問題は難しい。社員にとって会社に留まるだけの魅力がなくなっているという事なんですよね。これが、もし、新社長に起因する問題が引き金となって生じている事態であるならば簡単に解決はできません。


 同族経営の会社では業務執行役=オーナーという構図になっています。この体制では身内に関わる問題である場合、解決は非常に難しい。仮に社外取締役とか監査役を入れたとしても、結局は株を持っている一族の意見で重要事項が決まってしまうため何も変わらないのです。


某県知事の問題を見ていても思うのですが、人間性に問題があったとしても本人がサイコパスのような人格で罪の意識もなければ、反省する必要性すら感じていないような人である場合、変えようがありません。他人が苦しんでいようとも、自分に害が及ばない事に関しては無関心なので。


残念ながら、時々、後継者の人にこの手のタイプの方を見かけることがあります。親から甘やかされてこうなる人、反対に幼少期時代から陽の目を見ることなく、日陰でひっそり生きてきた、いわゆる陰キャな人でも、家業でトップに就つくと人格が変わり、これまでの人生を取り戻すかのように暴君になる人もいます。おそらくですが、ビックモーターの後継者は、このパターンだったのではないかと思います。


社内や身内にスペアとなる人材が存在するのであれば、まだ良いのですが、創業家内にすぐ交代できる人材がいない場合、残念ながら状況は変わらないでしょう。私がお世話になっている著名な大企業様では、創業者が1代で会社を大会社まで成長させましたが、後継者選びでは2人の息子が社内いましたが、能力を重視して次男を後継者に選んでいました。詳しいことは私も分かりませんが、かなり早い段階で創業者である父が次男へ継がせることを決め、兄との争いも覚悟の上で合理的な判断をしたものと思います。結果、会社はうまく回っているそうです。





先代社長、創業家の道義的責任

 上場企業であるならば、万一、出来の悪い社長が出てきた場合は取締役会、あるいは株主総会などで執行体制を変更することができます。特定の大株主がいない場合には、このように株主の利益を考えて合理的な意思決定ができるのですが、同族経営ですとそうはいかない。


 自分が指名した後継者が社長となり、その後、会社が混乱し人材流出が起こったり、お客様へのサービス低下が生じたりするような事態となったら、先代や創業家の人たちはどうするべきでしょうか?誰でもわかりそうな事ですが、だめなら社長を交代させるべきなんですよね。


しかし現実は、ほとんどの中小企業で放置されると思います。触れてはいけないアンタッチャブルな話。そして、徐々にじわじわ会社が痛んでいき最後は会社がなくなってしまう。私が知っている企業では、この末路を辿った会社があります。


身内が大切なのはよくわかります。しかし、そこで働く社員の人生はどうなるんでしょうか?会社は自分たちの子孫のためだけに経営するものではないと思います。


創業者の方であれば、お分かりになると思いますが、会社が大きくなったのは一緒に働いてくれた多くの社員の貢献があってこその今です。それを一家のメンツ、利権を優先し、乱脈経営がされている状況を放置してもいいのでしょうか?


こんなことが、実は日本の中小企業でたくさん起きているんじゃないかと個人的には予想しています。


こうならないように、同族経営の場合は親族だけでなく親族外の取締役の意見にもよく耳を傾け、会社として何が最も良い選択肢となり得るのか議論することが創業家の責任としてあるのではないかと思います。 また、万が一、指名した後継者がトップとしてふさわしくない人物であるならば交代させるべきです。苦しむ社員を放置してはいけない。道義的にも先代、オーナー一族には責任があると思います。結局は自分たちに返ってくる問題ですし。


一般的な株主と異なり、中小企業のオーナーは完全なる支配株主なので執行に関しても大きな責任を負っていると思います。


難しい問題ではありますが、ぜひ、会社が何のために存在するのか?創業者の皆さん、オーナー一族の皆さんには考えて頂きたいと思います。



以上、ランナーズ関根でした。




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