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執筆者の写真Takeshi Sekine

次期社長は、現場での下積みが必要か?

 現経営者の方から後継者の育成に関する悩みとして時々ご相談を頂くテーマです。若くして家業に入った方であれば、下積みとして営業職などを経験されますが、30代半ば以降で家業に入った方はどうするべきでしょうか?今回は、こんなお話です。




私の場合...

 私は34歳で家業に入社しています。当時の役職は、既に取締役として登記されていましたので平取で入社しています。


入社当初は、仕事の内容はおよそ理解していましたが、専門知識や業界知識はゼロでした。最初は私も先代に下積みをしたいので担当を持たせて欲しいとお願いしたのですが、先代からは「その必要はない」ということで最初から営業の責任者のようなポジションに就くことになりました。


頼れるのは自分がそれまでサラリーマン生活で身に付けた営業テクニックのみです。私の場合は、提案型営業をずっとやってきましたので提案書を作成し、時々、営業マンに同行して商談の場に出ていました。


しかしながら、お客さんの方は私の存在を「後継者」として見ますので提案の中身などあまり気にしませんし、そもそも業界的に提案書などを抱えて売込みにくるようなメーカーは皆無でした。一応は話を聞いてはくれますが、全て相手も知っている内容ですので目新しさもなく、むしろ時間かけて知っている話を説明されてもな。。。というような感じになっていました。


つまり、私は業界の事もお客様の事も全く知らない状態で、意味のない提案活動を続けてしまっていたわけです。社員も私が社長の息子であることを当然分かっていますので「変だな。無意味だな」と思っても指摘するようなことはありません。


更には、商習慣を無視して受注価格を上げるべく安売りを阻止するように営業のやり方を変えるよう指示を出していました。その結果、営業マンは売りにくくなり、一時的に売上が大幅に落ちたこともありました。


もし、私が営業責任者のような権限を持たない営業職として仕事をしていたとしたら、どうだったでしょうか?


おそらく、自分の持っている権限の中で最大限に業績が伸びるように工夫をしたと思いますし、そう簡単に業績は残せないので、より多くの苦労を経験したことと思います。


実際には、そういった苦労を経験しなかったがために会社の業績を落としてしまい、営業のメンバーからも面倒な存在として認識されるに至ったわけです。


つまり、私のようなタイプは下積みを数年間、経験すべきだったというのが結論です。家業に入る前に、起業や経営層の仕事を経験していた人であれば違った結果になったのかもしれませんが、経営の仕事を経験した事がない人が、いきなり取締役に就任し、組織を動かしながら業績を伸ばしていくというのは至難の業なのかもしれません。



下積み経験で得られることは?

 一番は現場で働く社員との人間関係、顧客とのやり取りを介して業界を理解するという事だと思います。これは本を読んで得られるスキルとは違って、自分がその環境に身を置き自分の力で得ていかなければ身に付けられない技能です。どれだけ優秀なコンサルタントが指導したとしても、現場で評価を受けるのは後継者本人であり、自分で汗をかいて(時には冷や汗もかきながら)身に付けていくしかありません。


このプロセスをショートカットした人は、おそらく、どこかのタイミングで壁にぶつかっているはずです。


人と仲良くなること、人を見極めること。この2つは、実践からしか学ぶ事が出来ないスキルです。


また、実戦で業績を残すことで先代社長からの信頼も得られる可能性はあります。社員と同じ立場・権限の中で、他者より抜きんでた成果を挙げることができれば、社員からも一目置かれる存在になり得る可能性はありますが、最初から高いポジションに就いてしまうとそうはいきません。同じ土俵で比較されているわけではないので、力量を単純比較できないからです。但し、後継者だからと言って現場でNo1になる必要は必ずしもないと私は思っています。何が何でもNo.1の成績を目指す方もいますが、私は後継者という立場を実際に経験した結果、例えば営業職で成績No.1となる必要はないなという結論に至りました。


向き不向きということもありますし、経営者は自分が最も力を発揮できることに専念することも可能だからです。


では、何が下積みで重要なのでしょうか?




下積みで1番をめざしたいことは?

No.1にならなければいけないことは「目配り、気配り(=心配り)」です。

この2つだけは絶対にNo.1の技能を身に付けるべきです。組織のトップである経営者にとっては絶対的に必要な技能だからです。


この2つを身に付けることができれば、社員へ上手に仕事を任せたり、大きな成果を挙げてもらったりできるようになるからです。


つまり、社員や顧客から信頼される存在となることが大事という事です。

そのような立場を築く事が出来れば、そおらく先代も安心して社長の座を譲ってくれるようになるでしょう。


先代から認められるためには、単純に「成績が良い、仕事がデキる」だけでは足りないのです。会社の大事な資産でもある社員を大切にする技能を身に付けていないと認めてもらえないのです。



まとめ

 結論としては、少しの期間でも構わないので経営層以外での業務を経験することをお勧めします。仕事の中身を覚えるだけではなく「目配り、気配り」を身に付けるために下積みの仕事は最適なのです。いきなり高いポジションで入り、成果を挙げれる人はこの2つを既に身に付けている方のみです。自分を客観視してみて、「目配り、気配り」が足りないなと思ったら、少し経営から離れてみることも良い学びになるかもしれませんよ。





以上、ランナーズ関根でした。








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