中小企業であっても、DX戦略が重要な時代になってきました。今回は、中小企業の経営者の皆さんに考えて頂きたいDX投資について書かせて頂きます。
システム投資分野の優先順は?
DX、ちょっと前であればIT投資と言われていましたが、要はコンピューターに関する投資についてです。
システム投資といっても、いろんな分野があります。情報共有を目的としたシステム、会計関連のシステム、重要な業務のデータを管理する基幹システム、ホームページ、ネット通販などのインターネット関連のシステムなどなど、いろんなものがあります。
さて、あなたはどこから先に投資しますか?
システムには生産性向上に寄与するシステム、売上増に寄与するシステム、収益性に寄与するシステムなどがあります。多くの企業では、生産性向上に寄与するシステムになぜか投資が集中する傾向にあります。
例えば情報共有のためのシステムです。メール、ファイル共有、掲示板、チャットなどなど社内でのコミュニケーション、データ共有を目的としたシステムですが、これらは殆どが売上増に直結するものではありません。また、情報共有したからといって利益をが増える=収益性が高まるとも言い難いです。
まず、大前提としてインフラとなるメール、Office、チャットシステム、ビデオ通話、ファイル共有、認証システムなどは無条件で必要になるもので、これらはいかなる規模の企業であっても入れておいた方が良いでしょう。
ここまでは、どこの会社も同じですが、ここから先で分かれます。
最近ですと、サイボウズ(キントーン)とか入れる会社も多いです。サイボウズは、情報共有に加えてちょっとした業務アプリなどをプログラミング知識がない人でも簡単に作れるので人気です。
ただし。。。サイボウズ(キントーン)入れても売上が急に伸びる、利益率が良くなるという事は直接的には期待できないでしょう。
私なら収益性の向上から着手する
私が実際にやってきたのは、情報系のインフラを一通り整備した後、収益性を高める必要がありました。具体的には、粗利率を高める必要があったのですが、そのためにはシステム導入の前に管理会計の制度設計が必要でした。例えば、管理会計上の勘定科目、システム上のコード、仕分けに関するルール、配賦ルールなどの決まり事を定める必要がありました。
続いて、原価を正確に把握するための決まり事を作りました。例えばに日報では、どのようなデータをどの部署で、誰から記録してもらうかなどの決めごとです。
このような前工程を経て、既存の会計ソフトを有効活用しながら、原価を把握する仕組みを構築していきます。
これができるようになると、原価を細かく把握できるようになり、且つ事業予算に対する予実対比ができるようになるので採算性を制御できるようになります。
ここまでくると、ほとんどの企業では利益率が高くなってくるんです。
基本的には、会計ソフト+Excelでできてしまいます。
今では殆どないと思いますが、会計ソフトを利用されていない企業であれば、会計ソフトから導入する必要があります。
収益性の次は。。。
これは会社によって分かれます、BtoCの会社であれば、私だったらネット通販のシステムに投資するかもしれませんし、BtoBで対面営業によって販売している業態であれば、SalesforceのようなSFA、CRMのようなシステムに投資していくかもしれません。
SFAやCRMを入れるのであれば、収益性の向上と同様に、まずは業務の基本ルール、手続きなどの業務改革から着手します。その上で自社に合いそうなソフトウェアを選ぶと良いと思います。
日本企業の使い方で良くないのは、業務のやり方にこだわり過ぎてソフトウェアを改造しまくる行為です。これはダメです。可能な限り、ソフトウェアに自分たちの仕事のやり方を合わせてしまった方がフル機能を活用できますし、最近のソフトウェアというのはいろいろな企業の成功パターンを考慮して作られているので、標準的な使い方をすると自動的に生産性が高くなるようにできているので、併せてしまった方が良かったりします。
一方、インターネットは難しいです。ホームページとかは別として、稼ぐためのウェブサイトというのは簡単に作れるものではありません。例えば、アマゾンとかに出店すれば簡単に売り上げが伸びるか?というとそうでもなく、マーケティング戦略をちゃんと考えてウェブサイトを構築していかないとネットによる売り上げは伸びません。
最近、特に思うのですが中小企業こそ、WEBマーケティングに詳しい人間を雇った方が良いと個人的には思います。ネットは、うまくやると売り上げがリアルに伸びます。営業研修やって営業マンを教育するところから始めるよりは、ネットに投資してネットによる売上増を狙った方が早かったりする場合もあるので、BtoCに限らず、BtoBの企業でもWEBマーケ、ネット販売は無視できない時代になってきています。
中小企業の経営者であるならば、WEBマーケは絶対に勉強した方が良いと思います。
まとめ
中小企業の経営者の皆さんへお伝えしたいこととして、まずはインフラとなる仕組みを確実に入れておくこと。続いて、売上増を狙うか、あるいは収益性を高めるかの優先度に応じて投資をしていく。
いずれの場合も、業務プロセスの改善から必ず行う。
こんなことは、何十年も前から言われてきたことなんですが、未だにこの基本原則が守れていないというのが日本企業なんです。業務改善をせずに、システムを入れてしまう。で、失敗する、、、これを何回も繰り返す。
これは私の私見なので正しいとは限りませんが、キントーン入れても劇的な業績向上にはならないと思っています。便利ですよ、確かに。でも、その前に投資すべきモノがあるよなと思います。
ということで、IT業者が提案してくる最新のDXソリューションに飛びつく前に、
経営者であるならば、、、
「このシステムって儲かる?」
という視点で常に考えるようにしてください。生産性、効率化、コスト削減... これ系のシステムは無駄ではありませんが、業務改革をちゃんとやらないと全く効果でないと思います。経費を下げたいのであれば、経費=原価を正しく把握できるようにすることが先です。
売上を伸ばしたいのでれば、ネット、つまりWEBマーケティングに投資をするのもアリです。今までのような営業マンに売ってもらう方式から、ネットを上手に使って売ることにチャレンジするのも良いと思います。ただ、マーケティング戦略が不可欠なのでその点はお忘れなく。ネットショップ作れば売れるという事ではありませんので。
以上、ランナーズ関根でした。
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