「社員が経営に関心を持ってくれない」という愚痴を経営者から時々聞きます。
これを解決する方法について、今回は解説していきます。
悩みのタイプ
「社員が経営に関心を持たない」ことを悩みとして訴えている経営者の方は、社員にも経営に参加して欲しいと考えている人でもあり、トップダウンによる経営から抜け出したいと思う人がいる。その一方で、自分の指示通りに動いてくれない社員が多く、不満を感じている経営者の方もいます。大きくは、この2つに分かれるかと思います。
この違いによって対処方法が異なってきます。まず純粋に社員にも経営に参加して欲しいと思っているタイプをA,指示が通らず不満を抱えているタイプをBとします。
最初に考えるべきは、A,Bも同じなんですが、自分がもし自分自身の部下だったとしたら「どうやったら関心を持てるようになるか?」これを考えてみてください。
不満があるときって、案外、相手の気持ちを理解せずに一方的に自分の想いや要望だけを相手に求めていることがあったります。そうなっていないか、まずは自分自身を客観視してみてください。
Aタイプの対処例
これから紹介する方法というのは、私がこの方法でやってきたのですが、万能ではなく、あくまでも1つの方法なので1つの方法例として読んでみてください。
社員が経営に関心を持って職務に臨むようにするには、経営に関する情報を提供するという事が1つ考えられます。中小企業では、業績に関する情報と言えば売上と予算達成度くらいしか社員へ公開されず、どのくらいの利益が出ているのか社員が分からないような会社が
多いのではないでしょうか?
(社員が気にする数字)
社員からすると「どのくらい儲かっているのか?」「社員に利益をどのくらい還元してくれているのか?」「役員はどのくらい給料をもらっているのか?」「どんな経費が使われているのか?」・・・なんて事が気になったりします。
中小企業で数字を社員に公開しない会社というのは、役員報酬が極端に多かったり、社内で働いている実績がない人(社長の親族)へ役員報酬が支払われていたり、社長一族が私的に経費を消費しているなどが生じている場合、社員へ数字が公開されていない確率が高いです。
本来であれば、会社の会計情報は社員へ公開しても何ら問題ないはずなんですが、私がこれまでお会いした中小企業の経営者の殆どが、社員に会計情報を公開していません。その理由は、何らかの私的な不都合があるからです。
数値を公開するに当たり、すべてをガラス張りにする必要はなく、役員報酬は「人件費」の中に含めても良いですし、経費に関しては販管費すべて細かく出すのではなく、主だった科目は開示し、その他の経費は、「その他販管費」という科目で出しても良いと思います。まずは、数字を出すことが大事です。
と同時に、数字を社員に出すという事は、経営者および経営者一族も「襟を正す」必要が出てくるので、今まで通り好き勝手に会社経費を使えなくなることは覚悟する必要があります。
まずは、会社の経営状況を社員へ明示してください。
(効果的な数字の開示方法)
年に一回、損益計算書を公開するだけでは不十分で、製品別、事業別、拠点別、あるいは取引先別に売上・粗利を月次で開示するのが効果的だと思います。一般的に中小企業は、無駄な経費を使っている会社って少ないんですよ。なぜなら、社員が好き勝手に会社経費を消費できるようになっている会社なんて、まずないので無駄は中堅・大企業と比較するとかなり少ない。絶対的な売上が足りない会社か、原価率が高い(=売値が安すぎる)ことが原因で十分な利益が獲得できていないケースが殆どです。
ここに社員の関心を向けるようにする事が、実はとても重要なんではないかと私は思います。大手企業や役所でたまに見かけますが、各席の上に照明のスイッチをON/OFFする紐がぶら下がっていたりしますよね? あれで、どれだけの経費削減になるのか???ですが。
中小企業でそんな事をやっても、あまり効果は期待できません。
大事な事は、社員に対して本当に解決すべき課題点を数値でちゃんと明示することです。
その殆どが、絶対的な売上、粗利率だったりします。ここを理解できるような数値の出し方をしてください。これをちゃんと行えば、社員が経営に関心を持つようになると思いますし、業績も自然と上向いてくるはずです。
これがAタイプの解決方法の1つとなります。
Bタイプの解決方法
こちらに関しては、経営トップと社員との信頼関係や距離感が問題になっていたりします。トップが社員の事を信頼していないと必ず表に出ます。ちょっとした言動にそれが現れてしまい、社員は「信用されていない」と感じ取ってしまう。
その結果、指示を守ってくれなかったり、パフォーマンスが下がったりする事も起こり得ます。この場合は、まず信頼関係を構築することから着手しなければいけません。
多くの場合、社長1人が頑張っていて、社員が着いてきていない事が考えられます。
言い方を変えると、社長が実務を握ってしまっているにも関わらず、本人はそのことに気づいていない。社員からすると「結局は社長が全て決めている」と思っている。こんな状況があったりしませんか?
解決策としては、指示に関してはより丁寧に説明し、「なぜ、これをやる必要があるのか?」「これをやると、どうなるのか?」必要性を十分に説明すること。
そして、相手を信用することからです。
そして、ある程度の判断や意思決定を社員に委ねることです。
何でも自分で判断してませんか?それが行き過ぎると、社員のやる気や経営への関心が下がってしまいます。まずは、最低限の権限移譲を考えてみてください。加えて、Aタイプと同様に社員が判断できるように情報の開示も必要です。
経営情報というのは、単に会社の情報を知ってもらうためだけではなく、社員が日常業務で正しい判断を下すために必要な情報だったりします。
そこを経営者が正しく理解し、適切な情報開示がなされる会社は自然と伸びていきます。営業の尻を叩くようなやり方では、もはや通用する時代ではないという事を自覚してください。
以上、ランナーズ関根でした。
今回のようなケースも、弊社ではご相談を承っております。
お悩みでしたら、ご相談ください。
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