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執筆者の写真Takeshi Sekine

経営者としての「マイ・ゴール」

 経営者の方であれば、引退するまでに何を目標とするか考えることもあると思います。ただ、目標というのは年齢や人生のライフステージ、その時々で変わることもあると思います。今回は、私の考える経営者としてのゴールについて書かせて頂きます。




社長になる前までの目標

 これまで私のブログを読んで下さっている方はご存じの通り、私は34歳でサラリーマンから家業に入っています。そこから社長になるまで13年くらいありましたが、社長になるまでは本当の経営者の仕事をわかっていなかったところも多分にありました。


そんな状態で、私が考えていた目標は自分が継ぐであろう家業を100億円企業にするという目標でした。当時の年商が30-40億くらいでしたので100億という目標は不可能ではないのですが、これまでのビジネスをそのまま続けるだけでは達成できない目標です。


で、今にして思う事ですが、年商100億という目標を達成できたとして、それにどんな意味があるかという事です。当時はただ会社の規模が大きくなることだけしか考えていませんでした。


会社を大きくすれば、経営者として立派だという考え方からくる発想だと思います。しかし、この考え方では単なる自己満足の目標でしかなく、おそらく年商100億という目標は達成できなかったと思います。なぜなら、独りよがりの目標だからです。


今だったら、違った目標を考えるだろうなと思います。




社長に就任した後の目標

 社長に就任しますと、だんだんと経営の難しさ、現実が分かるようになってきます。後継者(社長就任前のアトツギ)の立場では、社長というポジションの責任の重さを腹から理解していないので、突飛なことを始めたり、無謀なことに挑んだりすることもあります。


これはこれで、悪いことではないのですが、いつまでも浮ついた状態で社長を続けることはできません。なぜなら、結果が出ないでしょうし、部下がついてこなくなくなります。

そのうち、組織崩壊が起きて会社が傾いていく。実際に社長に就任すると、こういった現実的なリスクに気づくようになります。


で、私の場合、ゴールがどのように変化したかというと、既存事業の強化によって収益性を高めて会社を強くすることがゴールに変わっていきました。また、社員の給料をどれだけ上げれるか、社員の人生が良くなるように会社としてできることは何か?


こんなことを考えるように変わっていきました。

こういう変化は、後継者の方であればご理解いただけると思います。実際に社長の椅子に座ると初めて気づくこともたくさん出てきますよね。


それまで、自分中心のゴールや目標だったものが、だんだんと社員の幸せとか、会社の存在意義とか考えるようになり、むやみやたらと規模拡大を求めなくなるように私の場合は変わっていきました。


ただ、長期的な目標の1つに年商100億円は考えていましたが、それ以上に重要な目標は社員が喜んで自社で働いてくれることでした。


こんな感じで私の場合は、目標が変わっています。




家業を追い出された後の目標

 私は、家業で代表取締役を2年半ほど務めた後、親族の企てによって社長の座から降ろされ、その後、会社から追い出されてしまいます。


自分の人生設計において、全く予想していなかった展開であり、正直なところ、人生の目標どころの状況ではなく、明日からの生活、今後の人生をどうするか???というレベルの話でした。


社長を解職されてから、半年くらいの時間をかけてランナーズ株式会社を設立して家業から離れることになります。ランナーズは今期で4期目となります。


この数年間、やっぱりというか、自分を追い出した親兄弟が許せず、絶対に家業に負けない会社に成長させてやるという思いがどこかにありました。そうすることが、ある種、復讐のような感覚なんだと思います。


しかし、今はどう考えているかというと、過去のことに対する恨みを抱えている状態では良い経営ができないなと考えるようになり、ランナーズという会社が顧客へ提供する価値、質を考えていくと何百人も社員がいるようなコンサル会社を目指すのではなく、少数精鋭で自分たちにしかできない仕事をやっていくスタイルが良いんだろうなと考えるようになりました。


少数精鋭であれば、社員の年収もおのずと高くなっていきますし、お客様の数は限られるかもしれませんが、質の高い仕事ができるだろうと。


規模が大きくなった方がメリットが多い業種・業態、反対に規模を大きくしてしまうと品質に問題が出るなどデメリットが大きい業態もあります。


コンサルティングという仕事の特性を考えると、急激に規模を大きくしてしまうと、おそらくコンサルタントの育成が追い付かなくなりサービスの品質が落ちてしまう。仮に売り上げ規模を短期間で拡大できたとしても、長期的な会社の存続を考えると仕事の特性を考えた場合にデメリットの方が大きいなと考えるようになりました。


会社によって、ちょうどいいバランス・企業規模というのがあるんだろうなと最近は思います。そのバランスを何で考えるかですが、私の場合は社員が楽しく仕事ができる状態を優先に考えていくようになるだろうと思います。会社として、お客様にいい状態で仕事ができる、サービスが提供できるバランスを保ちながら成長を目指していく。


これが、今の私の経営者としての目標なんだと思います。


規模や個人的な夢を会社の目標にしていいかどうかというのは、考え物だなと個人的には思います。また、心の底に恨みを抱えているようでは、いい仕事もできないだろうなと思います。一生懸命仕事をしていると、そのうち、私のような恨みは消えてしまうものです。

とはいえ、もう少し稼がないといけないなと思う今日この頃です。




以上、ランナーズ関根でした。







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