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執筆者の写真Takeshi Sekine

理想の右腕(=番頭さん)の条件とは?

 私が登壇するセミナーで『後継者(=アトツギ)の方は社長就任までに番頭さんを見つけた方が良いです』という話を度々します。そうすると参加者の方から「どのような方が理想ですか?」と聞かれる事が度々あるので、今回はこのお話を書かせて頂きます。




私の番頭さんはこんな人でした

 一言で表現すると「調整の達人」でした。


この方、私の父を支えた重要幹部の一人でもあり、会社が急成長した事業を立ち上げた責任者の方でした。地元出身の方で、はばからずに書きますと決して高学歴の方ではありませんでした。もともとは、営業部門に配属されていましたが、そこで目が出ず製造部門へ配置転換されています。しかし、そこで腐ることなく自分の特性を生かし、頭角を現して徐々に先代である私の父に気に入られ、大きな仕事を任されるようになっていったようです。


人望が厚く、明るく、誰からも頼りにされる存在でした。そして何より頭の回転が超絶速いのです。一を聞いて10を知るタイプで、一緒に仕事をしていると私や父の発言から、その先をいく話を返してくれる天才的な人です。数字の計算も速く、大まかな数値を把握する事に長けている。また、人の心情を読むことにも優れており、怪しい相手を見抜くことに関しても得意なのでリスク回避という点でも欠かせない人でした。


また、先代から無茶な要求を突きつけられても、すぐに「出来ない」とは言いません。肯定しながらもソフトに軌道修正案を提示して、合意を得たら素早く現場を調整して形にしてしまう実行力が半端ないのです。私は、この番頭さんから大いに学ばせて頂きました。


また、アイデアも豊富です。仕事で何か壁に当たると、必ず代案を最初に思いつくのはこの人でした。諦めず、どうやったら実現できるのか瞬時に考えてアイデアを出せる人でした。


 私の父を知り尽くしているいが故に、上手に私の父をコントロール術も持っていました。当然ならが、父も困った事があれば、この人に相談を持ち掛けていたことは間違いありません。他の社員と違って、経営者目線を有する稀有な存在であり、私もこれまで30年近くビジネスの世界に身を置いてきましたが、この人ほど優秀な人を実は見たことがありません。


私からするとパーフェクトな存在なのです。

年齢は私と5-6歳(年上)しか変わらなかったと思います。取締役の中でも若い人です。


父から私に社長が交代した後、今度は私の右腕として大いに助けて頂きました。私が何か新しいことを始めようとするとき、見えていないリスクがあれば確実に指摘して教えてくれます。また、現場に大きな変化や負荷をかけざる得ない状況の時には、率先して私に代わり現場を回って地ならししてくれます。私の代弁者になってくれる存在でした。「社員は〇〇のように思うはずだから、□□した方が良いよ」とか目から鱗のアドバイスをくれるのです。


また、私が父と揉めている時は、「社長(=父)は、〇〇□□のように考えているはずだから、このタイミングで△△△しておいた方が良い」など、親子のもめごとに対しても緩衝材のような役割を果たしてくれる存在でした。


特に喧嘩しているときは、父、私共に、この方を介してお互いの腹を探るようなことまでやっていたので間に挟まれていた番頭さんは「もう、勘弁してくださいよ」と何度も言われていました。笑。当のご本人は、真剣に「勘弁してくれ」と思われていた事と思います。

それでも、放り投げずに私たちを様々な角度から助けてくれた重要な幹部でした。


親子二代にわたる最重要な右腕だったわけです。

とにかく頭が良くて、性格も明るく、調整能力が高い。現場を動かす人望がある。そして経営者目線で意見が言える稀有な存在でした。一方で、他の社員からは妬まれることもあったと思うので、ご苦労は絶えなかったと思います。私の後継者時代は、この番頭さんと共にあったのです。


とまあ、いろいろ書きましたが、これだけの条件が揃う番頭さんを見つけ出すことは現実かなり難しく奇跡のようなものだと思います。




右腕の条件について

 私が考える右腕(=番頭さん)の条件は以下の通りです。

  1. 経営者目線を持っている+数字に強い

  2. 調整能力に長けている

  3. 危機の察知、問題解決力が高い

  4. 社員からの人望が厚い

  5. そして、誠実であること

この他に加えて、当然ながら自社のビジネス、業界を深く理解している人でなければなりません。大企業であれば、また話は別ですが、田舎の中小企業であるならば幹部全員が自社のビジネスに精通している事は絶対条件です。



 私の経験知からの話ですが、会社の幹部を人選する場合、安易に業界外からハイスペック人材を雇い入れて取締役などに据えるのは、あまりお勧めしません。自社のビジネス、業界での経験がありませんし、特に大企業で働いてきた人たちは、仕組みやブランドと云いう看板の下で仕事をしてきた人であり、ビジネスに対する戦略の発想も大企業が取り得る発想でしか戦略を考えられないので、中小企業では使えないと言われてしまうのは当然です。

既存社員からは飛び越えて入ってくるので、当然、嫌がられます。そんな人の中から番頭を選ぶなど私だったらあり得ない行動です。でも、コンサルをやっていると、時々、そのようなケースに出くわします。社長就任間もない、後継者の方が先代を支えた経営チームを一新するために積極的に外部人材を採用してチームを構成する。


日本電産でもそのような事が行われていましたが、結局は長く勤めてくれているプロパーの生え抜きに戻りましたよね。能力だけでは難しく、一緒に働く社員との相性も重要なので、そこは注意してみてください。



ということで、番頭さんを選ぶのであれば、上記の条件リストに合致する人で、且つできれば社内から見出した方が良いですね。そして右腕になってもらうと決めたならば、少なくとも取締役の地位には就いてもらう事をお勧めします。部長、課長クラスでは弱い。役員であることが望ましいです。また、年齢差はあまり意識する必要はないと個人的には思います。若くても優秀な人はいますし、年齢が上の方でも優秀な方はいます。


一点、最後にご忠告しておきたい点として「野心を持っていないこと」です。

最初は社長である自分を支えてくれていても、徐々に権限も強くなってくると社長の座を乗っ取ろうと野心を持つ人もいなくはありません。そこは信頼関係次第ですが、自分を絶対に裏切らない人を見抜く事は難しいですが、ここだけは要注意です。




以上



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