「うちは良い給料を払っている」と言う社長の会社ほど、社員が育たない理由
経営者のためのブログ Vol.265

最近、あるクライアントとの仕事を通じて、改めて考えさせられたことがあります。
コンサルタントとして現場に入ると、経営者から社員の愚痴を聞かされる場面があります。「社員ができない」「やる気がない」「何度言っても変わらない」。そしてセットで必ず出てくるセリフがあります。
「うちは、いい給料を払っているんですよ」
この言葉を聞くたびに思うのは 「この社長は、社員を本当の意味で大切にできていないな」と。
■ 「金を払う=大切にする」という思考の落とし穴
「社員に報いる=お金を払う」という思考が出来上がっている経営者は多いです。
その考え方では、給料を払っているのに成果が出ないのは社員が無能だから、という結論になります。結果が全て。途中でどんな苦労があろうと、結果が出なければ評価しない。
この発想が、実は社員の成長・挑戦を阻んでいます。
結果だけを評価される環境では、社員はリスクを冒してまで挑戦しようとしません。失敗すれば評価が下がるだけで、何も得られないからです。
その結果、無難にこなすだけの社員が増えていきます。言われたことはやる。でもそれ以上はやらない。挑戦もしない。そして社長は「うちの社員はやる気がない」と嘆く。
この悪循環を作っているのは、社員ではなく経営者自身です。
■ 本当に社員を大切にできる社長の共通点
業績のいい会社の経営者に会うと、よく聞くセリフがあります。
「いやー、うちは社長の俺がバカだから、社員が助けてくれるんですよ。本当に感謝しかない」
この言葉を自然に言える社長の会社は、間違いなく社員が生き生きと動いています。
社員を大切にするとは、給料を払うことではありません。結果だけでなく、努力する姿勢・チャレンジする姿勢を評価できるかどうかです。
一歩踏み出した社員をよく観察し、うまくいかなくても「よくやった、次はこうしよう」と精神面でも支えになる声をかけ続ける。そういう社長の下でこそ、社員は安心して挑戦できます。
挑戦する社員が増えると、組織は自然に動き始めます。社長が愚痴る必要もなくなります。
■ 自分の能力を常に確認・証明したがる社長
もう一つ、現場で気になるパターンがあります。
社員を大切にできない経営者に共通しているのは、常に自分の影響力や能力を他人に認めさせようとすることです。社員を見下す、外部の専門家を軽んじる、自分の判断が常に正しいと思っている。
これは、自分が有能であることを自分自身が常に感じていないと満足できない人の思考パターンです。
結果が出ない場合、他責にするか環境のせいにする。「自分の能力が低いからではない」と、一生懸命自分に言い聞かせている。そういう経営者が、少なからずいます。
コンサルタントとして正直に言うと、時々こう思うことがあります。
「この人は、何のために私にコンサルを依頼したのだろう?・・・」
助言には耳を貸さず、自分がやっていることが正しいかどうかを頻繁に確認してくる。十分に自分の正しさを認めてもらえたと感じると、コンサル契約を終わらせる。
本当に、こういう経営者がいます。笑えない話ですが、これは実際によくあるパターンです。
■ 社員の愚痴を言う経営者への、私からのメッセージ
社員の士気が上がらない、社員の愚痴が絶えない——こういう話をする経営者に出会ったとき、私はこう思っています。
問題は社員にあるのではなく、経営者にある。
「そう、あなただよ。あなた。」
社員は経営者をよく見ています。給料をもらっている分だけ働けばいい、それ以上やっても報われない——そう学習した社員が、合理的に動いた結果が「やる気のない社員」です。
社員を変えたいなら、まず経営者が変わる必要があります。
結果だけでなく、プロセスを見る。挑戦を評価する。社員の苦労に気づき、言葉をかける。これができる経営者の下でだけ、社員は本気を出します。
「うちはいい給料を払っている」という言葉は、実は社員への不満ではなく、経営者自身の経営スタイルへの問いかけです。
その問いと、正直に向き合えるかどうか。それが、組織が変わるかどうかを決めます。
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経営者のためのブログ Vol.265
ランナーズ株式会社 関根壮至
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