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AIが奪うのは機密情報だけではなく、人間の「決める力」かもしれない

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経営者のためのブログ Vol.266



AIに関して、私がずっと気になっていることがあります。


世間ではAIによるハッキングや情報漏洩が深刻な問題として注目されています。確かにそれも重大なリスクです。でも私が最も気にしているのは、そこじゃありません。


AIが人間の判断力・決断力を、じわじわと奪いつつあること。これが、私が本当に危惧していることです。





■ AIの使われ方が変わった


ChatGPTが登場した頃、AIは検索エンジンの延長のような使われ方が主流でした。情報を集める、文章を整える、資料を加工する。デジタル文具として使う感覚です。


今はどうでしょうか?


重要な判断が迫られている場面で、「どっちにすべきかAIに聞いてみよう」という使い方が広がっています。ビジネスの意思決定だけではありません。


たとえば、結婚適齢期の若者がマッチングアプリで出会った候補者の中から誰と連絡を取るかをAIに選ばせる。実際に会ってみて、付き合いを深めるべきかどうかも自分では決められず、しまいにはAIに「決めて」と頼んでしまう。


笑い話のように聞こえるかもしれません。でも、実際にこういうことが起きているはずです。


以前は「自分が判断するための材料をAIに集めさせ、選択肢を並べさせる」使い方でした。今は「AIが出した答えに従う」「AIに決めてもらう」使い方に変わりつつある。この変化は、小さいようで深刻だと思っています。




■ 「決める」という能力が衰えていく


人は「決める」という行為を繰り返すことで、判断力が鍛えられていきます。失敗しながら、悩みながら、それでも自分で決める。その繰り返しが、経営者としての、人間としての、判断力を育てる。


AIに決めてもらい続けると、この能力が使われなくなる。

使わない筋肉は衰えます。判断力も同じです。


もし、物事を自分で決められない若者が増えていったら、社会はどうなるでしょうか。人の言葉よりAIの答えを信用することが当たり前になっていったら、人と人の信頼関係はどうなるでしょうか。


会社の現場でも、社員の意見よりAIが出してきた情報を経営者が信用するようになったら、どうなるか。




■ 「AIが作った資料」という問題


仕事の現場でも、AIが作った立派な資料を持ってくるビジネスパーソンが増えました。

整っていて、読みやすくて、論理的に見える。


でも私はいつも、こう考えます。


この人は、この資料の中身を本当に理解しているのだろうか。目の前にいるこの人の、本当の実力はどれほどのものなのか。


経営者の立場で言えば、社員の本当の能力が見えにくくなります。AIを使いこなしている人と、自分の頭で考えられる人の区別がつきにくい。そして社員自身も、AIなしでは考えられない状態に、少しずつなっていくかもしれない。


業務効率が上がったとしても、社員の考える力・決める力が失われていくなら、それは本当に良いことなのか。私には、そう思えません。




■ 子供のことを考えると、さらに不安になる


子供のことを考えると、心配はさらに深まります。


最も脳が発達する思春期に、考えることをAIに任せて過ごした子供たちは、大人になったとき、自分で選択できるのだろうか。リアルに心配になります。


ハッキングによってインフラが乗っ取られたり、兵器として悪用されるリスクは確かに深刻です。でも考える力・判断する力・決める力さえあれば、人間は何とか生き残れるはずです。


その能力そのものが衰えてしまったら、人間はどうなるのか。


私はそこを、一番恐れています。




■ 経営者として、何を考えるべきか


AIを使うこと自体を否定したいわけではありません。私自身もAIを日常的に使っています。


問題は、使い方と、使う側の姿勢です。


AIは判断の材料を集め、選択肢を整理するところまでの道具として使う。最後に「決める」のは自分だ。この一線を、社員にも、自分自身にも、意識させ続けることが、今の経営者に求められていると思っています。


社員に「考えさせる」機会を奪わない。答えをAIに聞く前に、自分ならどう考えるかを問わせる。そういう文化を意図的に作っていくことが、これからの組織には必要です。



社長のあなたなら、どう考えますか?



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経営者のためのブログ Vol.266

ランナーズ株式会社 関根壮至

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