「サービス業での苦労話④」

更新日:1月25日






ホテル事業での苦い経験、その④をご紹介します。

いかなる商売であっても身近な人たちを無視してはならないという事。


【中途半端な魅力】

ホテル業はいくつかの業態に分かれます。都市型のシティホテル、ビジネスホテル、そして非日常を体験できるリゾート型のホテル。私たちが所有していたホテルは、このどれにも属さない不思議な施設でした。というのも、スポーツ施設がこれでもかと揃っている施設は、なかなかありません。しかも、立地としては都市部から離れていますが、リゾート地ではなく、田畑の広がる田舎にドーンと広がる広大な敷地。面積が大きすぎて、自分たちだけでは草刈り、植栽の手入れもままならないような大きさです。


メインとなる団体客は、50mの競泳プールがあることからオリンピックを目指す水泳チームが合宿所として利用してくれます。しかし、その利用時期は偏りがはっきりしていて、年に4回くらいの集中する時期があります。最も稼働が上がるのは夏休み期間中。この期間は、合宿客と一般客が同時に押し寄せ、毎日、稼働を続けるだけでもスタッフは死にそうになります。一般のお客様は、日本海側最大のウォータースライダープールを目当てに来場されます。確かに、すごいスライダープールです。一日に3,000人くらいの人がプールを利用する日もあります。そこに来て、団体の合宿が入るので食事、ルームメークは半端ない忙しさになります。一年の収入の1/3を夏場で一気に稼ぐ感じです。




しかし、この施設。夏場以外に何か魅力があるか?というと、ほぼないです。特に冬場は新潟にありながらスキー場からは遠く離れており冬場が弱い。更に、新潟市街地からも車で20分くらいの距離にあるため、ビジネスホテルとしての利用も便利ではない。かなり中途半端なのです。そうなると、安定的に稼ぐためには普段使いしてもらえるような需要を創り出すしかない。需要集中を分散させるべく、合宿客にシーズン料金を提案したり、ビジネス客向けの特別なプランを作ったり、いろいろやりましたが、どれもパッとしない結果になっていました。お客様が来場される時期がとにかく重なるのです。時期さえ合致すれば、必ずお客様はやってくるのですが、その頻度を上げたり、分散させることが非常に難しい施設でした。


投資してホテルを改装したところで、需要時期は決まっているので改装だけでは売り上げを押し上げるだけの効果は期待できない。お客様の利便性、満足度はあがると思いますが、特に合宿のお客様は予算が決まっているため価格転嫁できない。価格を上げれば、他の施設へ移ってしまいます。またビジネス用途の合宿会議プランなども考えましたが、この領域も選択肢が多く、高価な価格では、わざわざ不便な施設に足を運んでくれる事は期待できない。細かいサービス改善をたくさんやりましたが、どれも決定打になり得るものではありませんでした。


データを分析していくと、日常的に使ってもらえる人たちは、温浴施設を利用されるお年寄り、法事やお祝い事などでレストランを利用される地元のお客様でした。頻繁に使ってくれる人たちは、地元のお客様なのです。旅行代理店に団体客、個人客のプランを売ってもらっても、結局は需要時期が集中するため、キャパ以上の売上は上げれません。なので、普段使いしてもらえる地元のお客さんをどれだけ集めれるかが、再生の重要なカギでした。ここに至るまで、5年くらいは試行錯誤していました。よく会社が施設を持ち続けたなと思います。私が社長だったら、そもそも施設を買ってなかったと思いますが、これだけ赤字が続く施設を持ち続けることもなかったと思います。





【身近な人たちを大切に】

これは、私の推測なので間違っているかもしれませんが、田舎の温泉宿であっても一定量は地元、近隣のお客様が宿泊していると思います。なので、全国から集客できるような有名旅館、ホテルでない限りは地元のお客様をしっかり受け入れるサービスを提供できていないと成り立たないのです。ネットを駆使して全国からお客様を集めようとしても、立地の問題、施設そのものが持つポテンシャルを考えると簡単ではないのです。


そこで、飲食を中心に集客方法を変えることにしました。それまでは、リゾート感を前面に打ち出した宣伝でしたが、地元のお客様を考えた時に出てきたアイデアは、法事、祝い事などのちょっとしたイベントで利用してもらうプランが中心でした。同時に、合宿の時期とは重ならないシーズンで、一般のお客様にも利用してもらえるような観光をセットにしたプランを用意しました。更には、無理な宿泊を狙わずにバスツアーで昼食だけ利用してもらうような販促も行い、東京からの路線バスのバス停を施設内に設置する事にも成功しました。これにより、都会から一直線で当社のホテルへ向かう導線が出来上がりました。


バスの利用客でレストランが賑わいはじめ、少しづつですが地元のお客さんたちも「あれ、何か変わってきたぞ?」という雰囲気が出てきました。地元では、農協、郵便局など企業以外の団体客となりそうなところへ足を使う営業を地道に続けました。


こんな感じで、少しづつですが、業績が良くなっていったのです。派手な改装も行う事ができず、我慢の連続でコツコツやっていきました。


さて、次週は最終回となる予定です。

最終的に、この施設がどうなったのか。。。

私は、この6年半で経営に必要な多くの要素を身をもって学ばせてもらいました。

これは、多くのスタッフが一緒に頑張ってくれたこと、私を助けてくれたことが学びという成果を与えてくれたのだと思います。今でも、一緒に働いてくれた仲間に大変感謝しています。





次週に続きます。


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