私がClaudeを「番頭代わり」に使っている理由
- 関根 壮至

- 4 分前
- 読了時間: 4分
経営者のためのブログ Vol.260
経営戦略

「AIを導入しなければ」という話をよく聞くようになりました。
議事録の自動化、メール返信の効率化、資料作成のスピードアップ——こういった使い方が真っ先に語られます。それ自体は悪くない。でも、経営者がAIを使うなら、もっと本質的な使い方があると私は思っています。
私は現在、Anthropic社が開発したAI「Claude」を日常的に使っています。その使い方は、一般的なAI活用の文脈とは少し違うかもしれません。今回は、私の普段使いをそのままお伝えします。
■ 経営者が最初にAIでやるべきことは「作業の効率化」ではない
先に結論を言います。
私がClaudeを使って最も価値を感じているのは、「どこで儲けて、どこで損しているか」「何で儲けて、何で損しているか」という、経営の根幹にある問いへの答えを一緒に探ることです。
月次の損益データや試算表をClaudeに渡し、「この数字から何が読み取れるか」「どの事業・どのサービスが利益に貢献していて、どこがコストを押し上げているか」を問いかける。数字を貼り付けることもあれば、口頭で状況を説明することもある。Excelのデータをそのまま渡すこともあります。
Claudeはそれを受けて、客観的な視点から分析を返してくれます。
これは、優秀な番頭役の社員がいれば頼める仕事です。でも、多くの中小企業にそういう人材はいない。社長が一人で判断し続けるか、税理士に定期的に確認するか、そのどちらかになりがちです。
Claudeは、その空白を埋めてくれます。
■ 数値だけでなく、非財務の分析もできる
Claudeが優れているのは、財務数字の分析だけではありません。
自社の強みと弱みを客観的に整理したいとき、Claudeに問いかけることがあります。「こういう事業をやっていて、こういう顧客がいて、こういう組織体制だ。客観的に見て、この会社の強みはどこで、何がリスクになり得るか」と。
財務数字では見えない、組織の状態や市場での立ち位置、競合との差——こういった非財務の分野でも、Claudeは整理を手伝ってくれます。もちろん、Claudeが持っている情報は私が伝えた内容に限られます。でも、それを受けて客観的な問いを返してくれること、別の視点から整理し直してくれることに、大きな価値があります。
■ 事業戦略の壁打ち相手として
もう一つ、私が特に重宝しているのが「壁打ち相手」としての使い方です。
新しいビジネスモデルを考えているとき、あるいは既存事業の方向性を見直したいとき、頭の中にある考えをClaudeにぶつけます。「こういうことをやろうと思っている。どう思うか。どんなリスクが考えられるか。何が抜けているか」と。
経営者の孤独、というテーマを以前のブログでも書きました。社長になった瞬間、本音を話せる相手が減っていく。社員には立場上言えないことがある。先代には弱みを見せたくない。
そういう状況で、Claudeは遠慮なく意見を返してくれる存在です。忖度しない。疲れない。何度でも問い直せる。経営者が「これでいいか」と問いたい瞬間に、いつでも応じてくれる。
番頭役の社員が持つべき機能の大部分を、今のClaudeは担えると感じています。完全に代替できるわけではないですが、「いないよりはるかにマシ」どころか、「かなり使える」レベルになってきました。
■ 中小企業経営者がAIを使うなら、この順番で
私の経験から言うと、経営者がAIを活用する優先順位はこうなります。
まず「経営判断の補助」です。どこで儲けていて、どこで損しているか。自社の強みはどこか。次の一手として何が考えられるか。こういった問いにAIを使う。
次に「思考の整理・壁打ち」です。頭の中にある考えを言語化し、客観的な視点からフィードバックをもらう。
この2つが機能し始めてから、「作業の効率化」や「業務の自動化」に広げていく。この順番が、経営者にとって最も価値のあるAI活用だと思っています。
逆に言えば、議事録の自動化やメール返信から始めたとしても、それだけで終わってしまうのはもったいない。AIが最も力を発揮するのは、定型作業の処理よりも、経営者の思考を深める場面だと私は確信しています。
■ 始め方はシンプルでいい
「何から始めればいいか分からない」という経営者が多いと聞きます。
シンプルに始めてください。
まず、直近の月次試算表を手元に用意する。そしてClaudeに「この数字を見て、気になる点を教えてほしい」と投げてみる。それだけでいい。
最初の問いかけが粗くても構いません。Claudeとのやりとりを重ねるうちに、問いの立て方が上手くなっていきます。「こう聞けばもっと深い答えが返ってくる」という感覚が、使いながら育っていきます。
AIを使いこなす力は、使い続けることでしか育たない。これも、数字を読む力と同じです。
経営者がAIを単なる便利ツールとして使うか、思考パートナーとして使うか。その差が、これから3〜5年で経営判断の質に大きな差をもたらすと私は思っています。
社長の実務アカデミーでは、こうした「経営者としての思考力・判断力」を実務の場で一緒に鍛えています。AIの使い方も含め、経営の実務を体系的に深めたい方はぜひ覗いてみてください。
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ランナーズ株式会社 関根壮至
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