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経営者が「数字を読める」とは、どういうことか

経営者のためのブログ Vol.259



「決算書が読めるようになる集中講座」というセミナーが、世の中にはたくさんあります。


損益計算書の見方、貸借対照表の構造、キャッシュフロー計算書の読み解き方——。

こういった内容を教えてくれる場は、経営者向けにも数多く存在します。


それらを学ぶことは無駄ではない。


でも、それで「数字が読める経営者」になれるかというと、おそらくなれない。なぜなら、経営者にとっての「数字が読める」は、指標の意味を知ることとはまったく別の話だからです。




■ 世間が言う「読める」と、経営者が言う「読める」は違う


一般的に「決算書が読める」とは、こういうことを指します。


粗利率とは何か、自己資本比率が高いとどういう意味か、流動比率が低いと何が問題か——数字の定義と、その数字が示す状態の意味を理解している状態です。




これは確かに大事な知識です。

でも、経営者にとっての「読める」は、ここからさらに先にあります。


「なぜ、この数字になったのか」を説明できること。


粗利率が2%下がった。それは知っている。でも、なぜ下がったのか。どの商品の、どの取引先との、どんな動きが、この数字を作ったのか。会社の中で何が起きているから、この数字が出てきたのか。


それを自分の言葉で語れて初めて、経営者は「数字が読めている」と言えると私は思っています。






■ 数字は「結果」であり、「映し鏡」だ


試算表に並ぶ数字は、自社で起きた出来事の結果です。


売上が落ちた。それは現象です。なぜ落ちたのかは、数字の中には書いていません。ある取引先との関係が変わったのか、営業の動きが鈍ったのか、季節的な要因なのか、競合に奪われたのか。その答えは、現場にあります。


数字と現場を往復できる経営者は、試算表を見た瞬間に「あの件が影響しているな」と気づきます。逆に、数字だけを見ている経営者は、何が起きているかを知るために、また別の報告を待つことになる。


この差は、財務知識の差ではありません。自社の現場と数字を結びつける経験の差です。






■ では、どうすれば「読める」ようになるのか


私自身は、経営の修羅場の中で数字が読めるようになりました。追い詰められた状況の中で、毎月の試算表を繰り返し見続け、現場の動きと照らし合わせ続けた。それ以外の方法はありませんでした。


セミナーで体系的に学ぶことは、入口として意味があります。でも、本当の意味で数字が読めるようになるのは、自社の試算表を繰り返し見続けることによってしかありません。


なぜなら、数字の背景は会社によってまったく違うからです。


A社の外注費が増えた理由と、B社の外注費が増えた理由は、まったく別の話かもしれない。その会社の現場を知っている人間だけが、数字の裏側を読める。だから、どれほど優秀な外部専門家でも、経営者本人と同じ解像度で自社の数字を読むことはできません。


つまり、数字を読む力は、経営者が自分で鍛えるしかない。






■ 繰り返し見続けることで、何が変わるか


後継者や若手経営者の方に、よく伝えることがあります。


「毎月の試算表を、わからなくても眺め続けてください」


最初は意味がわからなくていい。でも、3ヶ月、半年と繰り返すうちに、「先月と比べてここが変わった」という感覚が出てきます。その感覚が出てきたら、現場の誰かに聞いてみる。「これ、なんで増えたの?」と。


その問いと答えの繰り返しが、数字と現場をつなぐ回路を作っていきます。


決算書の読み方を学ぶより先に、まず自社の試算表を毎月手に取ること。そこに書かれた数字を、自分が知っている現場の出来事と結びつけようとすること。その習慣を持ち続けることが、経営者としての「数字を読む力」を育てる唯一の道だと私は思っています。


経営リテラシーとは、知識ではなく習慣から生まれる。






■ まとめ


「数字の意味が分かる」と「数字が読める」はまったく別の話です。


経営者に必要なのは、財務指標の定義を覚えることではなく、「なぜこの数字になったのか」を自社の現場と結びつけて語れることです。数字の背景をイメージできるということでもあります。これは、コンサルタントにはできないし、おそらく税理士さんもできない。


残念ながら、セミナーでも身につきません。自社の試算表を繰り返し見続け、現場と照らし合わせ続けることでしか育たない。


地味で、時間がかかる。でも、それが経営者の「数字を読む」ということだと私は確信しています。




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経営者のためのブログ Vol.259

ランナーズ株式会社 関根壮至

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