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  • 執筆者の写真Takeshi Sekine

「サービス業での苦労話:最終章」

更新日:2022年1月25日




ホテル事業での苦い経験、最終章となります。

ここでの経験談は、本が一冊書けるくらいの様々なエピソードがありましたが、今回でまとめたいと思います。


【本当にどん底だった】

3年目の初秋だったと記憶していますが、精神的にも完全に参ってしまい、他人とうまく話すことすらできない「うつ状態」になり、とうとう会社に出れなくなりました。それまで何とかギリギリで自分自身を支えていたのですが、ここまでエネルギーがなくなったのは人生で初めての経験でした。本当に何もできなくなりました。思考が完全に止まり、頭に浮かぶことはマイナスのことばかり。ひたすら自分を責め続ける日々が続きました。


幸い、私を支えてくれた支配人が入った後でしたので、支配人と電話でやり取りしながら3カ月くらいでしょうか、会社を完全に休んでいました。この時点では、まだスタッフの人たちと信頼関係などは構築できておらず、厳しい状況でした。


そして、冬には何とか復活して職場復帰を果たしましたが、急激に好転する材料はありません。当時は体重がかなり落ちて、顔もげっそりしていました。明らかに病人に見えるのです。


【転換点】

私がコーヒーを煎れているとき、あるスタッフの方から声を掛けられました。

”やせ細ってきているし、心配。あなたが一生懸命やってきたことは皆分かっているから応援するよ。”


これまで、スタッフからこのような言葉をかけてもらったことはなかったと思います。私は家族と離れて単身赴任していましたので、食生活もいい加減な事をパートさんや調理人の人達は知ってましたので、時々、差し入れも頂くようになりました。


自分が弱ったことで、それまで身に纏っていた鎧が脱げたのだと思います。スタッフの人たちの優しさに触れ、今まで自分は間違っていたなと痛感しました。そして感謝の気持に満ち溢れ、涙が出ました。


これをきっかけに、スタッフの人との接し方が自分の中でも大きく変わっていきました。


【マネジメントの変化】

それまでは、トップダウンが多かったのですが、これを改め、私は余計な口出しはできる限りやらず、方向性を出したり、気になることがあればコメントはしましたが、それ以外はスタッフの人たちとは雑談をするようになりました。できる限り、スタッフの人たちの意見を引き出し、自分たちで楽しみにながら働いてもらうよう自分としては心がけていました。


なので、私の役割は「環境整備」がほとんどなのです。サービス業は、自分含めスタッフが大事な商品なのです。スタッフが生き生きと働ける環境でなければ、それがお客様に伝わり、良いサービスにはならない。働くスタッフが、心から笑顔で接客できる環境が大事なんです。ハード、社員教育、様々な集客プラン。必要なものはありますが、「社員が生き生き働ける環境」が最も大事です。特にサービス業は。

(セミナー、講演等を承る際には、この辺の話を方法論含め詳しくご紹介します)


少しづつですが、正社員、契約社員、パートさんなど立場関係なく、私との会話が増えていきました。会議もなるべく私は出ないようにして、結果だけ報告を受け、必要なコメントだけは返していました。ただ、正式な会議の場ではなく、日常会話の中でスタッフとの会話量を増やし、その中で仕事の意見交換はやっていたと思います。


この経験を通じて、自分のマネジメントスタイル、経営者としての価値観が確立されたのだと思います。


【結果に現る】

そんなこんなで、徐々に業績は良くなっていきました。何とか赤字を縮小させようと、スタッフ全員が頑張ってくれました。私が再建の仕事を引き受けた当初、億単位の赤字を毎年垂れ流す事業でした。この施設は経営判断によりH30年9月20日に閉館を迎えたのですが、

その最終年度(半期)には、損益がほぼイーブンになるところまで回復していました。

ここまで本当に、いろんなドラマがありました。いい意味でも、悪い意味でも、ありえない事が起きてしまう職場でした。




【ここで学んだこと】

  1. 自分の限界を知った

  2. どれだけ不要な鎧を纏っていたか気づいた

  3. 自然体でいることが、最も望ましく物事がうまくいく

  4. サービス業は、社員が商品であり、環境整備が重要であること

  5. スタッフとの信頼関係ができていないと何もできない

  6. 数値管理、数字の解釈(ここでは飲食、ホテル業に特化してました)

  7. 顧客視点(サービス商品企画は、この顧客視点がないとできない。。。)


いろんな事を書きましたが、私にとっての最大の成果は、業績を回復させたという結果ではなく、自分自身の気づきだと思います。私がその後、親会社の社長に就任してやったことは全て、ここでの気づきをベースに取り組んでいます。

非常に苦しい経験でしたが、スタッフの皆さんのおかげで、私自身をバージョンアップさせることができました。これが生涯にわたっての財産であり武器となることと思います。


最後に。

やはり、職場の仲間と楽しく働けることが一番なんですよ。業績を上げることは無論重要ですが、そのためにも笑顔が絶えない職場環境であることが大事。毎日が楽しくなければ、いい仕事にはならない。日々を楽しむ事が人生を良い方向に導いてくれると思います。



終わり


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