top of page
検索
執筆者の写真Takeshi Sekine

会社の業績を伸ばす1つの方法

 社長であれば、誰でもどうやって今の業績を伸ばすか毎日考えている事と思います。私自身も毎日考えていることですが、1つの方法を今回はご紹介します。


業績を伸ばし続ける社員
業績を伸ばし続ける会社は何が違う?


 業績を伸ばすためには、いくつかの方法があると思いますが、会社の成長ステージ、会社規模によって方法は異なります。今回は、社員数が300名以下の中小企業を想定して話を進めていきます。




私が直面していた経営上の課題

 私が後継者として経営を行っていた会社ですが、社員数が350名、年商50億円ちょっとの企業で創業から50年は経過していました。業種は製造業です。

強力なビジネスモデルに支えられ、ニッチな市場ではありましたがトップシェアのビジネスを有しており会社が傾く心配は殆どない状態でした。 この状態にある企業では、会社を大きく変革することが大変難しいです。なぜなら既存事業でそこそこの業績を上げることができるため、現場では大きな変化を望まない社員も多く、新しいことを始める動きに賛同する雰囲気を醸成することが難しいのです。 一方で、日常業務には様々な手垢が付いていて非効率な運用も放置されたままの状態です。最も深刻な問題は、採算管理(=原価管理)の問題がありました。 中小企業で建設業などを営む会社ではよくある話ですが、上半期は思いっきり赤字、下半期の受注・売上で一気に赤字を消して利益が出るというパターンです。 利益という数値が見えないため、現場の社員には利益という感覚が殆どなく、取れる案件はできるだけ受注し、製造・工事部門は採算よりも納期管理に追われるような仕事のやり方になります。 本来であれば、受注する前に損益を予測して受注する案件を選別し、受注後も工程の進捗と損益の推移を見ながら案件を管理し利益を最大化させることが王道ですが、殆どの中小企業では数値が見える化されていないため、行き当たりばったりの経営になってしまいます。 社員も頑張る方向性が、受注の最大化、納期遵守に向いてしまいます。 この状態を変えるのは並大抵のことではありませんでした。






さて、皆さんだったらどうしますか?

 皆さんならどう改革しますか?新規事業に着手しますか?それともM&Aで更なる業績アップを目指しますか?


私が選択した戦略は、業績を落としてでも採算管理ができる会社へと変革する選択でした。同時並行で新規事業の仕込みもやってはいましたが、基本戦略は会社の状況を見える化して数値に基づく経営へと移行することでした。


理由は、経営が上記のような状況にあったこと、それと私が社長になることは会社にとって大きな変化であり、社長就任と同時に新規事業を始めるなど新しい変化に社員がついてこない可能性があると考えたからでした。また、土台がしっかりしていない状態で売上を伸ばせたとしても採算管理が甘いと、せっかくの売上が十分な利益に結び付かないという想定もあり、売上拡大ではなく内部の管理を強化する方向に舵を切ったのでした。






具体的な解決策について

 まず採算管理を徹底するために、幹部社員の教育から始めました。具体的には、損益計算書、製造原価報告書の読み方、作り方を全国行脚で説明していきました。 こうすることで、少しは数値に関心を持つ人も出てきます。

続いて、全社の損益計算書だけでなく部門別、拠点別、事業別と損益計算書を増やし、読み方を教えていきます。しかし、この部門別、事業別、拠点別の損益計算書を作成する手間はとても大きな負荷であり、規模の小さい企業ではかなり難しいというのが現実です。

皆さんの会社で経理業務を少人数で行っているのであれば、税理士さんなどに相談して損益計算書を作成することをお勧めします。内部だけではかなり難しいです。 私が経営していた会社では、経営企画、経理課の2部門で情報を共有し、仕分けのルールを見直し実際には複数年度をかけて損益計算書を細分化できるようにしました。

順番が前後しますが、幹部クラスの損益計算書のトレーニングに入るまでには、この下準備が欠かせません。損益計算書の細分化が出来ていないと各部の業績が見える化できないので意味がないのです。会社の利益は各部の利益が積み上がり、結果として全社の利益となります。細部まで管理しない事には、どんぶり勘定と同じことになります。 管理職レベルのトレーニングが終わると、今度は現場(=部門)での採算管理に移行します。お金が入ってくる部門は売上・原価の管理、間接部門など収入がない部門では年間に支出できる予算を定め設定し、予算を超えないように支出をコントロールしていきます。


ものすごーく大変な作業ではありますが、採算管理にウルトラCは存在せず、丁寧に仕組みを作り込み社員が自立できるようにするしかありません。






結果どうなったか?


増収増益が続く
基礎固めが業績改善につながる

 私が社長職を務めている間、増収増益、自己資本比率、営業利益率もかなりの勢いで改善されていきました。当初の想定では業績が落ちると予想していましたが、運もあったと思いますが、売上も伸びていきました。既存事業の磨きをかけただけです。





業績が改善した要因

 普通に考えますと、原価管理の仕組みが機能して業績が改善したと考えるのですが、私の考え方では原価管理は副産物であり成果物の一つでしかありません。本当の成果、本当の成功要因は社員の変化です。社員の成長です。


仕組みが出来上がったとしても、それを活用するのは社員であり、その社員が使いこなせなければ何の成果も得られません。 多くの社長さんが間違えるポイントはここです。いかなる制度、例えば人事評価制度などもそうなんですが、制度を利用するのは社員であり、その社員の教育指導を行わずして成果を得ることはできないのです。つまり、制度だけを導入してもさっぱり効果が得られないのは、制度が悪いという側面だけではなく、制度を使いこなすための社員教育に失敗しているため成果が出ないという構図なのです。


私はコンサルの現場でもお客様によくお伝えするのですが、

「何をやろうが社員の育成に力を入れないと、どんなに立派なシステム、制度を入れようとも成果出ませんよ」とお伝えしています。




まとめ

 という事で、会社を伸ばすための1つの方法は、社員を鍛えることです。

そして管理職の権限を大きく増やして自由度を高めることです。


教える内容は高度なビジネス理論の話ではなく、自社のビジネスに必要な基本要素を行動・実務に落とせるように訓練するだけの話です。間違ってもMBAなんかに行かせる必要はありません。


 特に規模の小さい中小企業では社員育成に力を入れる必要があります。仕事って、製造工や研究職などは特殊技能を必要としますが、それ以外の職種ってそんなに高度なスキルを要求される職種はないはずなんです。それなのに「教育」となると難しい理論を学ばせたり、汎用的な社外研修へ社員を送り込む会社がとても多い。

業績を伸ばしたいとお考えの社長さん、一度、社員の皆さんへ自社のビジネスに必要な基礎スキルを社長であるアナタが先生となって教えてみてください。それだけで会社が蘇る可能性がありますので。



以上、ランナーズ関根でした。

閲覧数:160回0件のコメント

Comments


bottom of page