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先代が株を握ったまま死んだ。後継者に残されたのは、会社と莫大な税金だった。

経営者のためのブログ Vol.252


先代が株を握ったまま死んだ。後継者に残されたのは、会社と莫大な税金だった。


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支援の現場で、こういう話を耳にすることがあります。


先代が引退ぎりぎりまで自社株を手放さず、そのまま亡くなった。後継者は会社を引き継いだはずが、気づいたら莫大な相続税の請求書を前に立ちすくんでいた——。


「まさか、うちの話じゃない」と思った方こそ、今日の記事を読んでほしいと思います。





■ 日本の相続税は、世界で最も高い水準にある


最初に数字をお伝えします。


日本の相続税の最高税率は55%です。これは世界で最も高い水準のひとつです。OECD加盟国の平均税率は約15%であり、加盟国のうち15カ国は子どもへの相続税を課していません。シンガポール、香港、オーストラリア、カナダ、スウェーデンなどは相続税そのものを廃止しています。


日本だけが突出して重い税負担を課している、というのが現実です。


では、これが事業承継にどう関わるのか。


オーナー経営者が自社株を保有したまま亡くなった場合、その株式は相続財産として評価され、相続税の対象になります。非上場株式の評価は、純資産・配当実績・類似業種比準方式などが複雑に絡み合い、思いのほか高額になることが少なくありません。


たとえば、年商10億円規模の中小企業の株式評価額が5億円と算出された場合、単純計算で相続税は2億円を超えることがあります。後継者がその現金を持っていなければ、会社の株式や資産を売却して捻出するしかありません。





■ 「事業承継税制」は万能ではない


「事業承継税制(特例措置)があるから大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。たしかにこの制度を使えば、非上場株式にかかる相続税の納税を猶予することができます。


ただし、この制度には厳格な条件があります。従業員数の維持、事業の継続、株式の保有継続など、複数の要件を何年にもわたって満たし続ける必要があります。


そして最も注意すべきは、条件を満たせなくなった瞬間に、猶予されていた税金に利子を上乗せして即座に支払う義務が生じることです。


「猶予」は「免除」ではありません。綱渡りが何十年も続くのです。


この制度の存在を知らないまま事態を迎えるのも問題ですが、知っていても「制度に乗っかれば安心」と思い込むのも危険です。





■ 先代は教えてくれない


現場で見ていると、後継者が株式の問題を「先代任せ」にしているケースが非常に多いと感じます。


先代は、自分が築いた会社への愛着から、なかなか株を手放そうとしません。「まだ早い」「俺が元気なうちは」という言葉を繰り返しながら、気づけば引退ぎりぎりまで保有し続けます。


後継者もまた、「株のことは親父に任せている」「税理士が何とかしてくれるだろう」と、自分から動こうとしないことが多い。


しかし、考えてみてください。


万が一のとき、最も困るのは誰ですか。相続税の請求書を受け取り、会社を守るために奔走しなければならないのは、後継者であるあなた自身です。


先代が教えてくれるのを待っていては、手遅れになる可能性があります。






■ 後継者が今すぐ動くべき理由


相続税の対策は、時間がかかります。


株式の評価を下げるための手を打つにも、株式を計画的に移転するにも、事業承継税制の適用を準備するにも、最低でも数年単位の時間が必要です。先代が亡くなってから動き始めても、間に合わないことがほとんどです。


だからこそ、後継者が能動的に動く必要があります。


まず知ることから始めてください。


自社の株式は、今いくらで評価されているのか。先代はどのくらいの株を保有しているのか。事業承継税制の要件は何か。税理士はこの問題をどう整理しているのか。


これらを、先代から聞き出すのでも、税理士に確認するのでも構いません。「知っている状態」に自分を持っていくことが、最初の一歩です。


「うちは税理士に任せているから」という言葉をよく聞きます。でも税理士は、聞かれなければ動きません。後継者が問いを立てなければ、誰も動かないのです。





■ まとめ


日本でビジネスをやる限り、株式相続の問題は避けて通れません。


先代が株をどう持っているか。会社の株式評価はいくらか。相続が発生したとき、何が起きるのか。これは「税務の話」ではなく、「後継者としての経営の話」です。


先代任せ、税理士任せにせず、自分で情報を集め、自分の言葉で理解する。その姿勢が、いざというときに会社を守る力になります。


後継者に必要なのは、知識よりも「自分ごととして考える習慣」だと、私は思います。


この「自分ごとして経営を捉える」という実務的な思考の訓練を、社長の実務アカデミーでは後継者・次世代経営幹部の方々と一緒に続けています。関心のある方はぜひ覗いてみてください。


▼ 社長の実務アカデミー


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ランナーズ株式会社 関根壮至

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