役職はご褒美ではない――優秀な社員を潰す昇進
- 関根 壮至
- 12 時間前
- 読了時間: 4分
~経営者のためのブログVol.243~
会社に、抜群に仕事ができる社員がいる。
営業成績は常にトップ。技術力も高い。現場からの信頼も厚い。
だから、昇進させる。
——それ、本当に正しいでしょうか。
この人選が、優秀な社員を潰してしまうこともある・・・という話です。

実務能力とマネジメント能力は、まったく別物
多くの経営者が悩む問題のひとつがこれです。
成績優秀な営業マンを役員や幹部に登用するべきか。技術力の高い社員を管理職にすべきか。
つい先日も、ある経営者の方から相談を受けました。営業成績は抜群。次期社長候補にも考えている。
しかし、その人は現場を手放さない。今日も営業先に出かけている。
経営を任せるのであれば、自分で仕事をこなすのではなく、部下を動かして結果を出すこと が求められます。ですが、その適性が見えない。
これは、決して珍しい話ではありません。
実務能力が高い人が、そのままマネジメントに向いていることは、実はほとんどないのです。
優秀な人ほど、組織を壊すことがある
私の経験でも、営業の腕は一流だが、
ルールを守らない
組織より自分を優先する
経営層に非協力的
そんな人がいました。
営業責任者を任せましたが、結果的には組織をかき回し、最終的に辞めていきました。
どれだけ数字を上げても、組織を壊してしまっては意味がありません。
役職を与えるということは、単に権限を渡すことではなく、組織の文化を託すこと でもあります。
では、誰を選ぶべきか?
マネージャーに必要なのは、
目配り・気配りができる
冷静に判断できる
人から信頼されている
こうした資質です。
すると、よく言われます。
「そんな人、社内にいませんよ。」
ですが、最初から仕上がっているマネージャーなど、どこの会社にもいません。
経営者が見るべきは、完成度ではなく、伸びしろ です。
転職市場で“完成品”を探すのではなく、育てる覚悟を持つこと。
これが経営者の仕事です。
成績トップを外すと、必ず摩擦が起きる
ここで厄介なのが、実務ができる人ほど、現場での影響力も強いことです。
その人より成績が低い人をトップに据えた場合、
「なんで俺があいつの下なんだ。」
こうした感情は、ほぼ確実に生まれます。
これは人間として自然な反応です。
だからこそ、日頃から明確にしておく必要があります。
役職は“偉さ”ではなく、“役割”である
私は、役職とは偉い・偉くないを示すものではないと思っています。
役職は、背負う責任の違いを示すもの です。
演劇でも映画でも、主役と脇役があります。
主役だから偉いわけではありません。単に役割が違うだけです。
社長も同じです。
社長は一番偉いのではなく、一番重い責任を背負っているだけです。
もし、この認識が社内に浸透していなければ、職位は“上下関係”になります。
そして、その瞬間に軋轢が生まれます。
偉くなりたい人に役職を与えるな
役職を「地位」と考えている人に役職を与えてしまうと、組織は歪みます。
偉くなりたいだけの人に権限を持たせるのは、極めて危険です。
経営者は、
数字
技能
実績
だけを見て判断してはいけません。
その人が、
組織のために動けるか
自分を抑えられるか
責任を背負えるか
そこまで見て、はじめて役職を与えるべきです。
最後に
優秀な人を評価したい。報いたい。昇進させたい。
その気持ちは、とても健全ですし、よくわかります。
ですが、役職はご褒美ではありません。
それは、役割と責任の重さを引き受けるポジション です。
この前提を外した昇進は、優秀な社員を潰し、組織を弱くします。
その点、どうか慎重に考えてください。
役職をどう設計するかは、単なる人事の問題ではありません。
それは、会社の未来をどう描くかという、経営そのものの問題です。
「実務ができる人」を昇進させるのではなく、「役割を担える人」を育てる。
そのためには、経営者自身が“役割とは何か”を理解していなければなりません。
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以上、ランナーズ関根でした。