拝啓 先代様、アトツギの心の内をお伝えします(後編)
- Takeshi Sekine
- 2022年6月6日
- 読了時間: 4分

前編はこちら
”社員は本当の事を言えない”
社員が何か困りごとを抱えている時、あなたではなくアトツギである私たちに相談を持ちかけてくることがあります。それは、個人的な悩みから会社の構造的な問題に関することまでさまざまです。
アトツギである私たちは、会社の構造的な問題を察知した場合、あなたに報告や相談する事があります。それは問題を解決して会社を良くしようという思い、そして先代であるあなたに一緒に問題解決に取り組んで欲しいという気持ちがあるから話すのです。
「そんな話があるか!」、「なぜ、社員は俺に話してこない!」、「お前の勝手な思い込みだろう!」
こういう反応をされてしまうと、建設的な話し合いになりません。更に、マズいのは相談を持ち掛けてきた社員に
「本当か?」
と問いただすのは一番よくない事です。社員は、あなたに本当の事を話せないからアトツギである私たちに相談を持ち掛けてくることもあるのです。あなたが問いただせば、
「何も問題ありません。大丈夫です」
と答えてしまうでしょう。そういう構図になるという事を是非、分かってください。これをやられた後、アトツギである我々と社員との間で埋めようのない壁、気まずさが生じます。現実は、社員もなかなか創業者には不都合な話が出来ないものです。
社内の問題や社員の悩みが解決するように、われわれアトツギを利用してください。そうすれば、みんなにとって望ましい方向に向かっていくと思います。
”そんな時こそ指摘して欲しい”
問題が生じたり、チャンスが来ている時、先代であるあなたは、我々アトツギよりも優れた勅勘で状況を先読みし、瞬時に意思決定し行動に出れる。しかし、時としてアトツギは変化に気づけず見過ごしてしまうこともある。
時間的な余裕によるが、現場へ直接指示を出す前に、アトツギである我々に「おい、分かってるか?」と一言声をかけて欲しい。そうすれば、私たちも「あ、しまった」と気づけるのです。
また、これはアトツギにとって辛いことなのです。どういう意味かというと、毎回、先代が指示や方針の上塗りを繰り返すことで社員からは、
「アトツギは何の力も無い。所詮、先代の言いなり。」
というレッテルを張られてしまうからです。こうなってしまうと、アトツギは非常に辛い立場に追い込まれます。どうぞ、このことは理解してください。オセロ返しは、辛いのです。。。
確かに、もどかしく感じたり、ビジネスで得られる利益が失われてしまう危険性もあると思いますが、ほんの一瞬立ち止まり、「おい、分かってるか?」と声をかけてあげてください。宜しくお願いします。
”指示命令ではなく、良質な問い”
私たちアトツギが、先代であるあなたに求める事として「良質な問い」があります。最近の若者は・・・とう言葉をよく聞きますが、私たちアトツギも「最近の若者」と同世代であり似たような特性、価値観を持っている世代なのです。私たち世代は、一方的に命令されることに慣れていません。合理性、納得感がないと行動に移せない世代なのです。
望んでいるのは、答え=指示命令ではなく、気づくための「問い」なのです。
「本当に、これでいいのか?」、「他に考えられるパターンはないか?」、「これがベストな打ち手か?」、「この場合、相手はどう思うだろう?」。。。
こんな問いを投げかけてください。そうすることで、私たちも気づき成長することができるかもしれません。命令に従うだけの働き方ですと、私たちの心も折れてしまい、成長したいという意欲も失われてしまうこともあります。
”最後に”
我々アトツギは、先代であるアナタと喧嘩したり、対立したいとは全く思わない。先代経営者である前に、親でもあり、自分を成人するまで育ててくた唯一無二の存在なのです。
できれば、毎日、笑顔で接したい。今まで受けた恩を少しでも返したい。そう思うのです。どうか、これからも元気でいてください。そして、世代交代が来る日まで、私たちアトツギを見守りつつ、「本当に、これでいいのか?」と微笑みながら問うてください。
これが、最も嬉しい瞬間だったりするのです。
先代、いつも、ありがとうございます。
感謝。
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