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執筆者の写真Takeshi Sekine

「同族経営のトラブル要因、リスク」

更新日:2022年1月25日

同族経営は、うまく回っている時は最強の経営体制となりますが、ひとたび歯車が狂うと最低の経営体制になります。アトツギ経営者は、このリスクをコントロールする事を強いられます。非同族経営では想像できない苦しみがそこにはある。数回に分けて、このテーマについてご紹介します。

(お知らせ)

私が登壇するセミナーですが、

お申込みが、本日(11月22日)までとなっています。ご参加お待ちしております!

無料オンラインセミナーの知らせ

日時:11月25日 14:00 ~16:00 (Zoom)

内容:私が経験した事業承継に関する体験談

講師:関根 壮至(私)

主催:公益財団法人にいがた産業創造機構 新潟県事業承継・引継ぎ支援センター




先代経営者が、同族の場合、十中八九、言い争いになると思います。社内に兄弟がいる場合は多かれ少なかれ100%揉める。アトツギの皆さんは、日々、このことについて頭を悩ませている事と思います。今回は、揉めるパターン、回避方法の一例をご紹介します。




トラブルとなる典型例について

私はアトツギ側でしたので、その視点で以下、書き進めます。


1:新規事業・新規投資で揉める

新規投資、新規事業を始めるに際に、市場調査、リスク分析、損益シュミレーションなく始めてしまう。私の場合、経営者としての経験が少ないためできる限りリスクを予測し、損益シュミレーションを行い、理論上、先が見通せないと進みません。一方、先代は自分の勘を信じて進もうとする。残念ながら、今まで私が反対した案件で成果が出たものはありませんでした。どれだけリスクを訴えても、聞き入れてもらえませんでした。そうなると、私はどうするか?


放置という手段もあり得ますが、それでは最終的に社員が被害を被る事になるため、結局は裏で最低限のフォローをすることになります。また、そのことを先代に対して責め立てたりすると100%揉めます。なので、そういう場合は、何事もなかったかのように粛々とフォローをするしかありません。このようなケース、私だけでなく、アトツギ経営者の方なら経験されている事と思います。


しかし、こういう場合、腐ってはダメです。なぜなら、これで自分まで引いてしまうと社員が不安に思うからです。何があってもアトツギは、先代のフォローを何事もなかったかのように進める。そして、そのフォローの中で、失敗するパターンを学び取るのです。将来、自分が逆の立場になることは大いに考えられます。ビジネスは新しい事を始める事も大変なのですが、軌道修正や後始末の方が100倍大変で、これを経験しようと思っても、そうそう経験できない貴重な機会なんです。なので、もし、私と同じような経験を今されているアトツギの方がいらっしゃれば、何食わぬ顔でフォローしてください。先代のためではなく、自分のため、社員のために必要な事です。



2:社内の制度・ビジネスモデルの変更など、変える仕事で揉める

幸い、私の場合は、この手の話で衝突することは殆どなかったです。理由は、何となくわかるのですが、先代は事業に関心はありますが、管理系の仕事には関心がありません。したがって、私が管理面を強化する事は先代にとってデメリットはなく、むしろメリットしかないため衝突する事がなかったと思います。しかし、他社では、そうではない事もあると思います。


こんな時、争うポイントというか言葉で気を付けたい事があります。それは、今の世代の人たちの考え方を押し付けるやり方です。「時代がこう変わっているから。。。」、「若い人たちはこう考えるから。。。」


この説得方法では、なかなか難しいでしょう。なぜなら、先代の経営者は今の時代に生きていません。活躍した時代は一昔前です。(そうでない方もいらっしゃいますが。)自分なりの考えに基づいてこれまで経営し、会社を守ってきた成功体験があるので、そこから外れた手法にトライする事をリスクと考えるのは当然です。なので、この説得アプローチは避けた方がいいです。


じゃあ、どう説得するか?

あんまり私の好きなやり方ではないのですが、相手に手柄を渡すことです。

分かりやすく言うと、自分が進めたいプランがあったとしたら、先代と話し合い、上手に先代がそのプランを考えつくようなヒントを出し続け、先代のアイデアとして導きだすのです。そして、先代の発案したアイデアとして事を進める。ものすごーく、くだらない事のように思えるかもしれませんが、これはサラリーマンでも同じような事が起こりえますし、同じような方法によって自分の目的を達成している人が大勢います。


人は、一度、強力な権力や地位を握ってしまうと、どうしても自分のやり方や意見を他人に強要してしまうもの。すべての人がそうではありませんが、現実、そういう人が多いです。


なので、ここで自分の筋を通さず、あえて相手に手柄を差し出し、会社としてあるべき姿へ導いていくというのも一つの方法です。あいにく、私の場合、こういうセンスがないので正面衝突が多かったですが、これをもっと徹底すればよかったなと今も反省しています。



来週は、そもそも、なぜ意見の相違が出てくるのか、親が子を攻撃する事が何故起きるのかについてお話します。






終わり

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