便利すぎるAIが、経営者の脳を弱らせていく。
- 関根 壮至

- 11月30日
- 読了時間: 4分
~AI依存が、経営者から判断力を奪っていく~
経営者のためのブログ Vol.232
最近、多くの経営者がAIを使い始めています。情報収集、調査、文章の下書き…こうした用途であれば、AIは非常に有効なツールです。
しかし一方で、私はここ半年ほど、少し危険だと感じる場面も増えてきました。
「経営判断までAIに相談してしまう人」が明らかに増えているのです。
AIを使うこと自体は問題ではありません。問題なのは、AIに“考えてもらう”癖がつき、気づかぬうちに 経営者自身の判断力が弱くなっていく ことです。

AIに“結論”を委ねると、経営者の判断力は確実に鈍る
経営の判断というのは、本来、自分の頭に汗をかいて、情報をかき集め、仮説を立て、未来を読みながら決めていくものです。
しかし、判断が難しいテーマほど、「AIに相談したら早いかも…」と頼りたくなる。そしてAIは、非常にそれっぽい“答え”を返してきます。
この状態を繰り返すと――
自分で考えなくなる
脳の使い方が変わる
判断する力が退化する
つまり、経営者としての“戦闘力”が落ちていくのです。
AIが悪いのではありません。AIに考えさせすぎる“依存状態”が危険なのです。
スマホ依存社会と同じ落とし穴が、AIにもある
街中を歩くと、ほとんどの人がスマホを見ています。
信号待ちでも
レストランで料理を待つ間でも
電車を待つときでも
電車に乗っている間でも
常にスマホの画面から目を離しません。
これは“便利”のレベルを超え、すでに 依存 の領域に入りつつあります。
AIもまったく同じ構造を持っています。むしろ、SNS以上に依存を生みやすい。
AIがつくる「情報バブル」という罠
AIは、あなたがWEBやSNSで閲覧した情報を学習し、あなたが“興味を持ちそうな情報”を延々と流してきます。
好きそうなニュース
好きそうな意見
同意しそうな主張
気になりそうな広告
あなたが没頭し、反応し、長く滞在する――その行動に合わせて、AIはどんどん“あなたがハマる情報”を送り込んできます。
ユーザーの脳では、報酬ホルモン(ドーパミン)が分泌され、
没頭 → 依存 → 思考停止 → 行動が誘導される
という連鎖が起きます。
これは、実際に世界のAI研究者の間で大きな議論になっている問題です。
AI社長の方が社員に好かれる?という衝撃的な話
ある社長さんからこんな話を聞きました。
「うちの社員が、“もう社長いらない。AI社長で良い”と言ってきてね…笑えないよ」
なぜそんなことを言われたのか?
社員いわく、
AI社長は怒らない
感情的に圧をかけてこない
冷静に相談に乗ってくれる
何でも答えてくれる
だから「リアル社長より相談しやすい」のだと。
冗談のようですが、半分は本気です。
AIの便利さが、人間社長の“存在価値”を薄めつつある。これは、本当に恐ろしい変化です。
AIは便利。でも“使われてはいけない”
AIは、経営に役立つ最高のツールです。正しく使えば、仕事の質もスピードも劇的に向上します。
しかし――
AIはSNS以上に、人を依存させる力を持っています。
SNS依存による子どものメンタル問題は、今や世界中で問題になり、政府が規制に乗り出す国すらあります。
その数倍の依存性を持つのがAIだと、私は思っています。
経営者として、AIとどう向き合うべきか?
あなたの判断力、洞察力、決断力は、AIに置き換えられるものではありません。
むしろ、AIを使いすぎるとこれらが劣化していきます。
情報収集にAI
調査の効率化にAI
文章の下書きにAI
ここまでは問題ない。
しかし、経営の“最終判断”は、自分で行うこと。
これを手放した瞬間に、経営者としての力が下がります。
まとめ
AIは便利。しかし、便利であるほど危険でもある。
判断をAIに任せるな
依存すると戦闘力が落ちる
情報バブルに巻き込まれる
AIに“思考を奪われる”危険性がある
AIはあくまでツールであり、経営者の脳や感性の代わりにはなりません。
経営者の皆さん、どうかAIとは距離感を間違えず、“使う側”に立ち続けてください。
便利に頼りすぎると、自分の判断力が腐食します。
経営の判断は、AIではなく、あなた自身の頭と覚悟で。
以上、ランナーズ関根でした。



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