今回は、情報を得る手段に関するお話をさせて頂きます。
ブログ#5で、自社・他社を調べて自分なりに立てた仮説の検証が必要という事を書いていますが、検証するためには事実を知る必要がある=情報を得る必要があるのです。
自社の情報であっても、自分に情報が入ってくる流れを作れなければ仮説検証も簡単ではありません。少ない情報で判断してしまうと、自分にとって都合の良いデータだけを見て「正しい」、「間違い」と判断しがちになります。なので、経営者はどんな場面でも豊富な情報に触れるような仕組み、情報入手ルートを持つことがとても大切になのです。
では、どうやって情報を入手するのか?
情報を入手するには?
入社間もないころに、私がやったことは社内に出回っている報告書関連を探しました。しかし、当時は信じられない事に「報告書」という類の書類は皆無でした。業務報告が定期的に行われているいるわけでもなく、数字の結果だけを共有するというだけの活動しか行われていませんでした。
そこで、まずは各部署のボスキャラの力も借りながら社内をざっと回りました。当社の場合、全国に10以上の拠点がありますので本社地区だけでなく、全国の拠点を訪問し、各地の社員から聞き取りを行いました。そこで、わかった事は当社の強み・弱みを把握する前に、そもそも情報共有、コミュニケーションが社内で行われていないので、そのインフラ(道具立てだけでなく、習慣化も含めて)を作らないと自分にも情報が入ってこないというのが結論でした。とはいえ、その完成を待っていては、いつまでも実態が把握できないので、できる限り現場を回って状況を確認していました。
しかし、ここで問題が出てきます。それは、私と社員との間に信頼関係がまだ構築されていないため、本当の情報を出してもらえない。。。なので、最初は雑談などをしながら、徐々に聞き出すしかありませんでした。入社して2-3年は有益な情報をつかむことは難しかったですね。上っ面の会話しか出来てませんでした。
いまでこそ、電子メール、SNSなどのコミュニケーション手段があるので社内外関係なく情報共有、コミュニケーションが可能なインフラが揃っていますが、当時は社内に電子メールもありませんでした。そこで、情報システム担当と力技でメールインフラを導入しました。
続いて、営業部門を手始めに月例報告書を導入しました。2006年頃の話です。
まー、反発は相当のものでした。今まで報告書なんて書く必要はなかったし、情報共有は携帯電話が1人1台、支給されていましたので、社員からすればメールなど必要なかったのです。しかし、ここは強引に事を進めました。
完全に浸透するまでに3年くらいは時間を要しましたが、メールの流通量は莫大に増え、様々な報告、意思決定が短時間で行えるようになってきました。この頃になりますと、社員と1対1のメールのやりとりも行っていましたので、だんだん距離が縮まり、いろいろな情報が入ってくるようになりました。
それからというもの、メール、メッセンジャーを介して社員から様々な情報が私のところへ流れてくるようになりました。
私が最初に立てた仮説は、当たっている事もあれば、事実とは異なる部分もありました。
ここまでに実に3年以上の時間を要しています。社員が350人を超える会社なので、仕方ない面もありますが、もう少し早くできればよかったなと思っています。
アトツギの皆さんにお伝えしたいこと#7
重要な情報が入るように環境を整えてください。
これは、経営者としての手腕・センスによる差が出ます。
腕の良い経営者は、様々な人との繋がりがあり有益な情報を豊富に持っています。
表面だけ見ると、知り合いが多いから情報をたくさん持っていると思われるかもしれませんが、それは違います。ただ知り合いが多いだけではありません。
自分に有益な情報が入ってくるような流れを作るためには、
「自分が他人にとって有益な存在であること」
が必須になります。
そうでなければ、部下であっても情報は流してくれない。経営者同士の交流会、人脈を広げるためのイベント等で名刺交換しただけでは本当の意味での人脈は作れません。腕の良い経営者は、普段から他人の役に立つことをやっているから情報が入ってくるのです。
アトツギ経営者は、この情報入手ルートを確立することがとても重要です。これができないと、何をするにも苦労することになります。仮説の検証もできないし、会社の実態を把握する事もできない。
異業種交流会、経営者同士の交流会通いに励むことは悪い事ではありませんが、その前に社内で自分のところへ情報が流れてくるようなネットワークが構築できているか考えてみてください。
もし、これができていないなら、外部の人脈を作る前に社内のネットワーク構築に力を注ぐ必要があります。インフラ(メール、SNSなど)が整っていても、人は情報を容易に流してくれないのです。自分がその人にとって有益な存在でなければ。
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