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「経営のブレーキング・システム」

執筆者の写真: Takeshi SekineTakeshi Sekine

更新日:2022年1月25日

優位な立場・地位を手に入れると、自分を制動できなくなる人もいる。ニュースなどをみていますと、社会主義国や独裁政権の国はリーダーが自制できていない国もありますよね。企業経営も同じです。今回は経営のブレーキに関するお話です。





「いざ」というときの緊急ブレーキシステム持ってます?

起業家の方でも、アトツギでも言える事なんですが、会社が順調に軌道に乗り、しばらくすると万能感が出てきます。自分には力があり上手くやれるという自信。


自信を持つことは決して悪い事ではなく、プラスに働く事も多いのですが、この万能感。ご存知のように諸刃の剣という側面があります。


アトツギに限った話をしますと、起業家とは異なり土台を自分で作っていないにも関わらず、短期間で成果が出てしまう事もあります。しかし、それは自分の力で全てが結実したわけではなく、先代の経営者や支えてくれた社員の努力がベースにあり、企業としての信頼・ブランドも加わって今日がある。これを忘れて「自分の力でやったんだ」と思ってしまう事はあり得ます。この万能感を持ったまま、アトツギが会社を動かし始めると、どうなるか。。。誰でも想像つきそうな話ですが、そうです。下手すると、会社は崩壊に向かっていきます。


具体的には?

まず、結果を急ぐようになり手当たり次第に何か始めるようになります。自信がベースにあるのでリスク分析が甘くなる。災厄の場合、社長(=アトツギ)の思付きだけで進めようとする。社員は、自分たちの意見を聞き入れてもらえない状態になり、徐々にモチベーションが落ちていきます。この状態でビジネスで結果が出てしまうと、更にヤバい事になります。


万能感に拍車がかかるのです。こうなると非常に危険。


社員と経営者との間に埋めようのない、大きな心の壁が出来上がります。

経営者(=アトツギ)は、孤立し始め、そのことに気づかない。更に成果を求めて強引に会社を動かそうとする。心による社員との絆というベースが存在しないため、一方的なトップダウンで会社が動き始める。



著名経営者、創業社長との違い

日本の著名な経営者、例えば松下幸之助のような人たちも強力なリーダーシップを発揮して会社を成長させてきたのは事実ですが、そこには心の絆によるベースがあったはず。創業社長も同じです。会社に思い入れがあるのと同じく、社員にも思い入れを持っている。だから、いざという時に強引なリーダーシップを発揮しても社員が協力してくれる。

そこを理解せずして、会社を強引に動かすやり方は「リーダーシップ」とは言わないと思うんですよ。




では、アトツギはどう対処すべきか?

ここで、ようやく今回のテーマが出てきます。ブレーキが絶対に必要なんです。特にアトツギは。。。


創業者の息子だったり、創業家の子孫の場合、社長交代と同時に絶大な支配力を持つ存在になります。以前も何度か書いていますが、会社をいとも簡単に動かせてしまう。


しかし、万能感を持つアトツギは、殆どの人において言えるのですが「人の話を聞かない」

これは間違いないです。私も以前は、多分にそういう側面がありました。どちらかというと強かった。


こういう時というのは、どこか自分の中に違和感を感じるものです。「本当にこのままでいいのだろうか?」と感じながら、私はやっていました。自分がやらないで誰がやるんだ!という責任感もあり、どんどんやってしまう。


人は、自分に対しては甘いものです。自分を甘やかす。なので、自分を自制するというのはとても難しい事なんです。偉大な経営者は、それを自然とデキル人だったりしますが、普通の人間にはそう簡単な事ではない。


そこで、ブレーキを持つことが重要になってくる。自分のアイデア、方針に水を差してくれる人です。ブレーキがあれば、止まるだけではなく、冷静に考え直すきっかけになります。そしてよりリスクが低く、成功確率の高いプランへと昇華させていくことができるようになります。ブレーキは、社内にいる場合もあるし、社外にいるメンター的な人であったりもします。最後に決めるのは自分かもしれませんが、ブレーキ役の人は、意図的に持つべきです。極論すると、これが出来ない人は経営者になれないのではないかと個人的には思います。


私の場合、外資系の会社にいたこともあり、意見を交わすという事に関しては違和感がなく、人から苦言を言われることもあるし、他人に対しても躊躇なく率直な意見を言います。もちろん、前提には文句ではなく、よりよくするための意見交換、創造共同ワークです。

日本の会社ではタブーとされている事なのかもしれませんが、外資系の会社では逆にこれが出来ない人は、生き残れない。。。そんな経験もあり、私はズバッと言ってしまいます。ズバッと言われると、逆にありがたく感じます。そこは普通の人とちょっと違うんだなと感じることはあります。


いろいろ失敗して、自分の身の程が分かってくると、自然とブレーキ役を求めるようになるものです。ポイントは、いかに若くして、そういう苦い失敗を経験し、身の程に気づくかどうかなのかもしれません。残念ながら、私は気づくのが遅い方でしたが。。。


私の経験で学んだことの一つなんですが、結局、社員と切磋琢磨して仕事した方が、結果はどうあれ、楽しいんですよ。達成感をより感じれるんです。なんでも自分の思い通りにやって、結果が出る。これは一見すると、素晴らしい事のように思えますが、実はそうじゃない。いろんな意見の相違があって、一緒に働く仲間と喧々諤々言い合い、そして結果が出る。このパターンの方が、絶対に面白い。


ブレーキ役は、年齢や経験は関係ありません。事実、私がブレーキ役と想定して接している人には、私より若い人も大勢います。自分に無いもの、自分が気づけない視点を持っている。そういう人達からの忠告は何よりもありがたい事です。



アトツギの皆さん、

意図的にブレーキ役を持つようにしてください。


私の知っている会社で世代交代後に会社が激変し、悲惨な事になっている企業もあります。しかし、こればかりは経営トップが気付けるかどうかにかかっており、企業戦略云々の話ではないのです。中小企業の事業承継、存続にかかわる問題として、今回挙げたテーマは結構、重要なのではないかと思っています。








終わり


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