父(先代)と比べられる苦しさ ~後継社長が必ず直面する“影”との向き合い方~
- 関根 壮至

- 8月31日
- 読了時間: 4分
「先代の社長はもっとこうだった」「先代は並外れた才能がある」「昔は社員ももっと元気だった」後継者として社長に就任すると、必ずといっていいほど耳にする言葉です。成果が出ないとき、あるいは自分のやり方にまだ自信が持てないときほど、この“比較の言葉”は胸に突き刺さります。でも――それは決して、あなただけが抱えている悩みではありません。私含め、大勢の後継者が経験していることです。

■ 「比べられる苦しさ」は誰もが通る道
二代目・三代目として経営を引き継いだ社長にとって、最初に直面するのは「比較」です。
先代のカリスマ性
長年の社員との信頼関係
昔の会社の勢い
これらと常に比べられ、「まだまだだな」と言われる。中には悪気なく口にする社員や取引先もいますが、後継者本人にとっては重い一言です。
私自身も就任当初は、ことあるごとに「お父さんならこうしたのに」と言われました。それは事実かもしれません。けれど、何でも父と同じことをするわけにはいきません。
■ 比べられるのは“当然”のこと
冷静に考えると、先代と比べられるのは自然なことでもあります。社員や取引先は長年、先代と共に歩んできました。その記憶や体験と、いまの自分を比べるのはある意味当然です。
問題は、「比べられる」こと自体ではなく、それをどう受け止めるかです。
■ 「違って当たり前」と捉える
私が気づいたのは、“比べられる”ことを避けるのではなく、“違って当たり前”と捉えることでした。なぜなら、
時代は変わっている
市場環境も社員も変わっている
自分自身の強みも先代とは違う
からです。
「同じやり方では会社を守れない」「むしろ違うからこそ新しい道を切り開ける」
そう考えられるようになってから、少しずつ肩の力が抜けていきました。
■ 比較から“対話”へ
とはいえ、社員や取引先から比べられるとき、ただ黙って受け流すのも苦しいものです。そんなとき私は、「父はそうだったかもしれません。でも、これからはこうしていきたいんです」と自分の考えを丁寧に伝えるようにしました。
大切なのは、“否定”ではなく“対話”に変えること。「違うやり方だけれど、ちゃんと考えている」姿勢を見せることで、少しずつ周囲の見方も変わっていきました。
■ 先代の影を力に変える
比べられる苦しさは、裏を返せば「先代が築いた強い基盤がある」ということです。ゼロから始める起業家にはない、大きな資産です。
その基盤に新しい価値を積み重ねていくことこそ、後継社長の役割。つまり、先代と比べられること自体が、後継者のスタートラインでもあるのです。
まとめ
「父(先代)と比べられる苦しさ」は、後継社長が必ず通る道です。しかしそれは、あなたが劣っているからではなく、“代が変わった証”にすぎません。
比べられるのは自然なこと
違って当たり前、と受け止める
比較を対話に変えていく
先代の影を力に変える
この視点を持つだけで、重荷のように感じていた言葉も少しずつ意味を変えていきます。
あなたは、あなた自身の強みで会社を導けばいい。それが後継社長の新しい役割であり、使命です。
経営は長期戦です。悩むとは言いませんが、この先もっと大きな挫折や壁に直面することがあります。細かいことは気にしない、自然体で過ごしてください。それが一番の防御であり、攻め手でもあります。
以上、ランナーズ関根でした。
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