M&A私の会社でも考えています
- 関根 壮至

- 8月12日
- 読了時間: 4分
近年、日本の中堅・大企業ではM&Aが日常的に行われるようになりました。一方で、中小・零細企業の経営者にはまだ「自分には関係ない」という感覚を持つ方も多いのではないでしょうか。今回は、私自身が経営者として考えているM&Aの現実と、その可能性について書いてみます。

最初に触れておきたい出来事が1つあります。
M&Aの労働者保護「不十分」 事前説明に課題、厚労省が強化策議論
まず注目すべきニュースがあります。2025年8月8日付の日経新聞によると、厚生労働省はM&Aにおける労働者保護を強化する方針を議論しています。記事で取り上げられていたのは、西武百貨店の事例や、牧野フライスを対象としたニデックのTOB(株式公開買い付け)。いずれも、買収後の合理化によって労働条件や環境が大きく変わる可能性が問題視され、労働組合が強く反発しました。
これまで日本のM&Aでは、買収交渉に労働組合や従業員代表が直接関与することはほとんどありませんでした。しかし今後は、社員の代表が交渉の場に加わり、労働条件の説明や保証を求める動きが加速するかもしれません。経営者にとっては、単なる株式譲渡や事業譲渡の手続きだけでなく、「従業員への説明責任」も、これまで以上に重要な要素になると思います。
この辺りは、経営者の皆さん、注目しておくべき動きかと思います。
ゾンビ企業を増やすくらいなら・・・
怒られるかもしれませんが、行政はコロナ禍で業績が低迷した企業を守るために、コロナ融資(いわゆるゼロゼロ融資)を提供し、返済がはじまるタイミングで、今度は借り換えの融資を用意し、とにかく会社が破綻しないように対応しています。
。もちろん必要な政策ではありますが、すべての企業を一律に延命させることには疑問もあります。とくに零細企業の場合、「雇用の確保」と「経営資源の有効活用」という観点から考えると、単独で生き残るのが難しいケースは少なくありません。本来であれば、価値ある技術・人材・顧客基盤を持つ企業は、M&Aによってより活かせる企業に引き継がれるべきです。延命だけを目的とした融資では、貴重な経営資源が埋もれたまま終わってしまいます。とはいえ、収益性の低い企業はM&Aの買い手もつきにくく、現実的には倒産を避けられない場合もあります。だからこそ、売り手も買い手も「動きやすい時期」を見極めることが重要です。今はまさにそのタイミングかもしれません。
M&Aは成長の近道になりうる
私も今の会社を経営して4期目になります。まだ急成長の段階には到達できておらず、相変わらずビジネスモデルを確立させる試行錯誤が続いています。でも、こういう試行錯誤の時期って金銭的にも苦しいのですが、意外と楽しいこともあります。「あ、このやり方じゃダメなんだ」というのが積みあがってくる。最後には、宝くじじゃないですが、あたりの方法を引き当てる。それが来るまでは、失敗し続けるしかありません。あきらめずにね。
私の会社は、コンサルティング・人材育成サービスなどが中心の会社です。この手のサービス業は、顧客開拓、顧客基盤を作ることが最も苦労します。商品としては、コンサルティングノウハウ、自社の人材(=社員)そのものが商品になります。これらは考えれば、ある程度は作れますが、全国に顧客網を構築しようと自社だけで頑張り続けても限界があり、ビジネスが成長する前に私は自分の年齢を考えれば、隠居することになるかもしれません。
そう考えると、やっぱりM&Aを活用すべきだよなと思います。東京だけで細々とやっていくなら、そんな必要はないければ、ある程度の規模を目指すのであれば、現実的にM&Aを利用するのが最も確実だったりすると思います。タイパ、コスパの良いM&Aはアリかなと。
経営者が持つべき視点
これからの中小企業経営者は、M&Aを「最後の手段」ではなく、「成長戦略の一つ」として捉える必要があります。
自社の価値をどのように評価し、誰に引き継ぐのか
買収側として、どんな企業を迎え入れるべきか
従業員や顧客に不利益を与えない条件設定はどうするか
こうした視点を早い段階から持つことで、いざという時に慌てず、最適な経営判断ができるはずです。
M&Aは単なる「会社の売買」ではありません。経営資源を未来につなぎ、価値を最大化するための経営戦略です。中小企業にとっても、その選択肢を真剣に検討する時代が来ています。みなさんも、この夏の間に「自社の未来地図」を少し描き直してみてはいかがでしょうか。
ということで、以上、ランナーズ関根でした。
みなさん、たのしい夏休みをお過ごしください!



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