社員とは友達になれない。でも、同じ山を登ることはできる。
- 関根 壮至

- 1 分前
- 読了時間: 4分
経営者のためのブログ Vol.258

社長と社員は、友達にはなれません。
立場が違う。責任の重さが違う。評価する側とされる側という非対称な関係がある。どれほど距離を縮めようとしても、その非対称性は消えません。
でも、だからといって壁を作り続けることが正解だとも思っていません。
私にはこんな経験があります。
■ トレラン部の「一部員」として
以前、私が社長をしていた会社に、トレイルランニング部がありました。10代から60代まで、さまざまな年齢の社員が所属する部活動です。
山脈を縦走したり、富士山に登ったり、仲間と一緒に山を駆け抜ける時間を過ごしました。
山を登るとき、私は、社長ではありませんでした。一人の部員でした。
部活動の場では、同好会の部長の指示に従って動く。特別扱いはしてもらわない。ペースが遅ければ待ってもらうこともあるけれど、それは社長だからではなく、仲間だからです。仕事の話は絶対にしない。山の中では、役職も評価も関係ない。
その時間が、私はとても好きでした。
■ 社員は、職場では教えてくれないことを教えてくれる
トレランを一緒に続けていると、社員のことがよく見えてきます。
職場では寡黙な社員が、山の中では率先して声をかけてくれる。普段は頼りなく見えた若手が、急勾配の下りで驚くほど頼もしく動く。仕事の話ではなく、その人の「地」が出てくる。
逆に、私自身のことも見られています。きつい登りで弱音を吐くか、遅れても黙って踏ん張るか。そういう場面で見せる姿が、職場での言葉より正直に伝わるのだと思います。
余暇を一緒に過ごしてくれた部下たちは、いろいろなことを教えてくれました。それは仕事のことではなく、人としての話です。どんな景色を見て心が動くのか。どんな場面で踏ん張れるのか。何が楽しくて、何が嫌いか。
そういうことを知っている社員とは、職場での関わり方も少し変わります。言葉が届きやすくなる、と感じました。
■ 「社員を楽しませる」ではなく「一緒に楽しむ」
社長の役目は社員の満足度を上げることだ、と言う人がいます。
その考え方は間違っていないと思います。でも、少し違和感を私は感じていました。
「社員を楽しませる」という発想は、どこか施しに似ています。与える側と受け取る側がある。経営者が用意したものを、社員が享受する。その構図では、社長は常に「上」にいます。
一緒に楽しむ、はそれとは違います。
同じ地面の上に立って、同じ汗をかいて、同じ景色を見る。そのとき、社長と社員の間にあるのは役職の差ではなく、ただの「一緒にいる」という感覚です。
この感覚を、私はトレランの中で何度も味わいました。そしてそれは、職場での関係性にも確かに影響を与えていたと思っています。
■ 社長自身が楽しんでいることの意味
もう一つ、伝えたいことがあります。
社長が楽しんでいる姿は、社員に伝わります。
活動を通じて生き生きとしている。仕事以外の顔を持っている。弱いところも見せながら、それでも楽しんでいる。そういう社長の姿は、言葉では伝えられないものを社員に届けます。
「この人は、人間だ」という感覚かもしれません。
完璧な経営者である必要はない。社員の前で常に強くある必要もない。山の中でへばって、仲間に励まされながらゴールする。その姿の方が、どんなスピーチよりも人を動かすことがあります。
社長が本当に楽しんでいると、組織の空気が変わります。楽しそうな場所に、人は集まってくる。それは採用にも、定着にも、じわじわと影響します。
■ まとめ
社員とは友達にはなれません。でも、同じ地面に立てる瞬間はあります。
その瞬間を作るのは、制度でも研修でもありません。社長自身が、心から楽しめる何かを持っていることです。
施しではなく、一緒に楽しむ。それだけで、組織との関係は少し変わります。
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経営者のためのブログ Vol.258
ランナーズ株式会社 関根壮至
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