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社員とは友達になれない。でも、同じ山を登ることはできる。

経営者のためのブログ Vol.258



社長と社員は、友達にはなれません。


立場が違う。責任の重さが違う。評価する側とされる側という非対称な関係がある。どれほど距離を縮めようとしても、その非対称性は消えません。


でも、だからといって壁を作り続けることが正解だとも思っていません。

私にはこんな経験があります。





■ トレラン部の「一部員」として


以前、私が社長をしていた会社に、トレイルランニング部がありました。10代から60代まで、さまざまな年齢の社員が所属する部活動です。


山脈を縦走したり、富士山に登ったり、仲間と一緒に山を駆け抜ける時間を過ごしました。

山を登るとき、私は、社長ではありませんでした。一人の部員でした。


部活動の場では、同好会の部長の指示に従って動く。特別扱いはしてもらわない。ペースが遅ければ待ってもらうこともあるけれど、それは社長だからではなく、仲間だからです。仕事の話は絶対にしない。山の中では、役職も評価も関係ない。


その時間が、私はとても好きでした。





■ 社員は、職場では教えてくれないことを教えてくれる


トレランを一緒に続けていると、社員のことがよく見えてきます。


職場では寡黙な社員が、山の中では率先して声をかけてくれる。普段は頼りなく見えた若手が、急勾配の下りで驚くほど頼もしく動く。仕事の話ではなく、その人の「地」が出てくる。


逆に、私自身のことも見られています。きつい登りで弱音を吐くか、遅れても黙って踏ん張るか。そういう場面で見せる姿が、職場での言葉より正直に伝わるのだと思います。


余暇を一緒に過ごしてくれた部下たちは、いろいろなことを教えてくれました。それは仕事のことではなく、人としての話です。どんな景色を見て心が動くのか。どんな場面で踏ん張れるのか。何が楽しくて、何が嫌いか。


そういうことを知っている社員とは、職場での関わり方も少し変わります。言葉が届きやすくなる、と感じました。






■ 「社員を楽しませる」ではなく「一緒に楽しむ」


社長の役目は社員の満足度を上げることだ、と言う人がいます。

その考え方は間違っていないと思います。でも、少し違和感を私は感じていました。


「社員を楽しませる」という発想は、どこか施しに似ています。与える側と受け取る側がある。経営者が用意したものを、社員が享受する。その構図では、社長は常に「上」にいます。


一緒に楽しむ、はそれとは違います。


同じ地面の上に立って、同じ汗をかいて、同じ景色を見る。そのとき、社長と社員の間にあるのは役職の差ではなく、ただの「一緒にいる」という感覚です。


この感覚を、私はトレランの中で何度も味わいました。そしてそれは、職場での関係性にも確かに影響を与えていたと思っています。






■ 社長自身が楽しんでいることの意味


もう一つ、伝えたいことがあります。


社長が楽しんでいる姿は、社員に伝わります。


活動を通じて生き生きとしている。仕事以外の顔を持っている。弱いところも見せながら、それでも楽しんでいる。そういう社長の姿は、言葉では伝えられないものを社員に届けます。


「この人は、人間だ」という感覚かもしれません。


完璧な経営者である必要はない。社員の前で常に強くある必要もない。山の中でへばって、仲間に励まされながらゴールする。その姿の方が、どんなスピーチよりも人を動かすことがあります。


社長が本当に楽しんでいると、組織の空気が変わります。楽しそうな場所に、人は集まってくる。それは採用にも、定着にも、じわじわと影響します。






■ まとめ


社員とは友達にはなれません。でも、同じ地面に立てる瞬間はあります。


その瞬間を作るのは、制度でも研修でもありません。社長自身が、心から楽しめる何かを持っていることです。


施しではなく、一緒に楽しむ。それだけで、組織との関係は少し変わります。


後継者・経営幹部の方と「経営者としての在り方」を一緒に深めているのが、社長の実務アカデミーです。制度や施策の話だけでなく、「どういう社長でいるか」という実務の話もしています。ご関心のある方はぜひ覗いてみてください。




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経営者のためのブログ Vol.258

ランナーズ株式会社 関根壮至

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