「現状維持」を選んだ経営者が、じわじわと追い詰められていく理由
- 関根 壮至

- 4 分前
- 読了時間: 4分
~経営者のためのブログ Vol.253~
「現状維持」を選んだ経営者が、じわじわと追い詰められていく理由

「うちはこのままで大丈夫」と言っていた経営者が、2年後に深刻な顔で電話をかけてくることがあります。
何かが爆発したわけじゃない。取引先が突然倒れたわけでも、大きなトラブルが起きたわけでもない。ただ気づいたら、選択肢が減っていた——というのです。
「あの時、動いておけばよかった」
この言葉を、私は何度か聞いてきました。
■ 2026年版中小企業白書が言い切ったこと
今年の中小企業白書(2026年4月24日閣議決定)には、こんな言葉が出てきます。
「現状維持は最大のリスク」
国の公式文書がここまで言い切るのは、珍しいことです。これまでの白書は、課題を示しながら「取り組みが重要」という表現に留まることが多かった。でも今回は違います。
何もしないことが、最もリスクの高い選択だと、明確に述べています。
背景にあるのは、中小企業を取り巻く環境の変化です。賃上げ圧力は続き、コストは上がり、人材は取れない。同時に、価格転嫁できる会社とできない会社、採用に成功する会社とできない会社の二極化が、データの上でも鮮明になってきています。
「現状維持」が通用した時代は、終わりつつあります。
■ 「変えていない」のに、なぜ追い詰められるのか
ここで一つ、考えてほしいことがあります。
現状維持を選んだ会社は、「変えていない」のではなく、実は「後退している」のかもしれません。
たとえば、賃上げをしていない会社を考えてみてください。給与水準は変えていない。でも周囲の会社は少しずつ上げている。相対的に、その会社の魅力は下がっていきます。採用が難しくなり、若い人が来なくなり、気づいたら平均年齢が上がっていた——。
「何もしていない」のに、気づいたら苦しくなっていた。これが現状維持の本質です。
川の流れに逆らわず、ただ漂っているつもりが、気づいたら下流に流されていた。そういう感覚に近いかもしれません。
私が支援する現場でも、このパターンを繰り返し目にします。特に、先代から引き継いで「まずは現状を守ること」を使命とした後継者に、多く見られます。守ることに集中するあまり、動くことへの恐怖が積み重なり、やがて選択肢が狭まっていく。
■ なぜ経営者は「現状維持」を選んでしまうのか
わかってはいる。でも動けない。
この状態に陥る経営者には、いくつかの共通点があります。
一つは、「今は問題が起きていない」という感覚です。売上が横ばいで、大きなトラブルもない。「まだ大丈夫」という空気が、危機感を遠ざけます。
もう一つは、「動いて失敗するリスク」への恐怖です。現状維持は、少なくとも今日明日の失敗は起きない。変えれば、何かがうまくいかないかもしれない。その比較が、現状に留まらせます。
でもここに、大きな錯覚があります。
現状維持は「失敗しない選択」ではありません。ゆっくりと、しかし確実に、リスクを積み上げていく選択です。爆発はしない。でも気づいた時には、後戻りするのが難しいところまで来ている。
2年後に電話をかけてきた経営者は、こう言っていました。
「あの時は確かに、何も起きていなかった。でも今思えば、そのことが一番怖かったんだと思います。何も起きていないから、動く理由が見つからなかった」
■ では、何をすべきなのか
「動け」と言いたいわけではありません。闇雲に変えることが正解でもない。
私が伝えたいのは、「今の自分の会社は、何もしなければどこへ向かうのか」を一度、冷静に見ておいてほしいということです。
2026年版中小企業白書は、経営リテラシーのある会社とない会社では、価格転嫁率にも採用成功率にも明確な差が出ていると示しています。リテラシーとは特別な才能ではなく、財務・組織・運営・戦略について「自分の言葉で語れる状態」のことです。
この状態にある経営者は、変化に対して選択肢を持っています。何かが起きたとき、手を打てる。逆にこれがない状態で変化が来ると、対応できずに飲み込まれていきます。
「今は問題ない」という状況は、準備する時間があるということです。問題が起きてから動き始めるより、今動いておく方が、はるかに多くの選択肢を持てます。
■ まとめとアクションプラン
今日、一つだけ問いかけてみてください。
「今の自社が、このまま2年間何も変えなかったとしたら、どうなっているか」
売上は。人材は。コスト構造は。競合との差は。
この問いに対して、「問題ない」と答えられるなら、それは本当に大丈夫です。でも答えに詰まるなら、そこに着手すべき課題があります。
現状維持を「選んでいる」のか、「選ばされている」のか。その違いを、経営者は意識しておく必要があります。
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ランナーズ株式会社 関根壮至
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