後継社長がやってはいけない「改革ごっこ」
- 関根 壮至

- 2 日前
- 読了時間: 4分
経営者のためのブログVol.235
~変えているつもりで、会社を弱くしていませんか?~

後継社長として会社に入ったとき、多くの人がこう思います。
「この会社、何かおかしい」「もっと良くできるはずだ」「変えなければならない」
その感覚自体は、決して間違っていません。むしろ、健全です。
しかし問題は、“改革しているつもり”になってしまうこと。
その会社に合わない改革は、会社を良くするどころか、静かに組織を弱らせていきます。
私はこれを「改革ごっこ」 と呼んでいます。
改革ごっこ①|見た目だけ変える改革
後継社長が最初に手をつけがちなのが、次のようなものです。
社名変更
ロゴ変更
スローガン刷新
オフィスのレイアウト変更
名刺・Webサイトのリニューアル
これらは「変わった感」が出やすく、周囲からも注目されやすい。
しかし、売上・利益・組織の力に直結しない改革を最初にやってしまうと、社員はこう感じ始めます。
「また社長の自己満足が始まったな」
信頼は、思っている以上に簡単に失われます。
改革ごっこ②|現場を知らないままの制度改革
次に多いのが、
評価制度を変える
会議体を再設計する
新しいルールを導入する
といった制度面の改革です。
これも一見、正しそうに見えます。しかし、現場を十分に理解しないまま行うと、
運用されない
形骸化する
不満だけが残る
という結果になりがちです。
制度は「設計」よりも「運用」が9割。
現場に根づかない改革は、改革ではなく“混乱”です。
改革ごっこ③|流行りに飛びつく改革
DX、AI、新規事業、M&A、サブスク…。経営の世界には、常に「流行り」があります。
後継社長ほど、こうした言葉に焦りを感じやすい。
何かやらなきゃ
遅れてはいけない
変化している感を出したい
その結果、自社の現状と無関係な改革に手を出してしまう。
これは非常に危険です。
改革とは、「流行っているからやるもの」ではありません。
改革ごっこ④|自分の正しさを証明する改革
後継社長が無意識にやってしまいがちなのが、これです。
先代のやり方を否定したい
自分の色を出したい
「自分は違う」と示したい
気持ちは分かります。でも、その動機で始めた改革は、ほぼ確実に失敗します。
なぜなら、改革の目的が「会社」ではなく「自分」になるから。
社員は、社長の動機を驚くほど正確に見抜きます。
本当に必要なのは「改革」ではなく「理解」
ここまで読んで、「じゃあ、何も変えるなということか?」と思ったかもしれません。
違います。
後継社長に最初に必要なのは、改革ではなく、理解です。
なぜ今のやり方になっているのか
何が機能していて、何が機能していないのか
どこに利益の源泉があるのか
社員は何に困っているのか
これを理解せずに行う改革は、すべて“ごっこ”になります。
本物の改革は、とても地味
本当に意味のある改革は、驚くほど地味です。
売上構造を整理する
利益が出る仕事・出ない仕事を見極める
判断基準を明確にする
社長がやるべき仕事に集中する
派手さはありません。でも、確実に会社の体力を強くします。
後継社長が最初にやるべきこと
後継社長がまずやるべきなのは、
「変えること」ではなく、「社長の仕事を正しく理解すること」。
社長は、改革者ではありません。舵取り役です。
方向を示す
優先順位を決める
判断する
実行される仕組みをつくる
これが、社長の実務です。
学び方に迷ったら
もし今、
何を変えればいいか分からない
改革しているのに成果が出ない
社長としての役割に不安がある
そう感じているなら、社長の実務を体系的に学ぶことが、遠回りに見えて最短ルートです。
当社が提供している社長の実務アカデミー では、
後継社長がやりがちな失敗
社長がやるべき仕事・やってはいけない仕事
改革ではなく“経営”の考え方
を、実務ベースで整理しています。
まとめ
改革ごっこは、「何かやっている感」を与えてくれます。
でも、会社は良くなりません。
後継社長に必要なのは、派手な改革ではなく、正しい理解と、地に足のついた判断。
本物の改革は、理解の先にしか生まれません。
以上、ランナーズ関根でした。



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